ひらひらの仕掛け屋敷

このブログはアニメや特撮、漫画についてのコメントやオリジナル女子格闘技小説を掲載したりしますよ♪♪

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |

第4回アンケートファイト、アンケート開始♪♪

皆さん、どうもですよ♪♪
ひらひらですよ♪♪

さて、オリキャラ参戦アンケートは終了し、blackflingwingさんからの参戦で榊原悠ですよ♪♪

では、アンケート項目を発表しますよ♪♪

1.彩坂梨杏(スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION) VS榊原悠(オリジナル)
対戦形式:ボクシング

2.中野洋子(スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION) VS 岡野恵(BLOOD OF MOUTH PIECE)
対戦形式:総合格闘技

3.柊瑞枝(BLOOD OF MOUTH PIECE) VS 神宮寺まどか(スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION)
対戦形式:キックボクシングVSボクシング

アンケート投票期日は1/27~2/4までですよ♪♪
投票はコメントまたは拍手でお願いしますね♪♪

ひらひらでした♪♪
スポンサーサイト
日記 | コメント:0 | トラックバック:0 |

第4回アンケートファイト、オリキャラ参戦可能時間まで後4時間です♪♪

皆さん、どうもです♪♪
ひらひらですよ♪♪

さて、第4回アンケートファイトに参加させたい読者の皆さんのオリキャラの参戦可能時間まで後4時間にさせていただきますよ♪♪
あまり伸ばしてもきりがないですから
そして、第4回アンケートファイトのアンケート項目はおそらく本日中には発表できると思いますよ♪♪

それでは、またですよ♪♪

ひらひらでした♪♪
日記 | コメント:0 | トラックバック:0 |

スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION Episode-17 デュラハンの罠

スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION Episode-17 デュラハンの罠

彩達が4日間のテスト休みを利用して、零次達に会いに来ていた。
せっかくなので、休日を利用して買い物へ行こうとしていた。

「けど、テスト休みをこっちで過ごしていいわけ? 友達と遊びに行ったりしないの??」
「ふぇ? 友達と遊びに来てるよ??」

ティアナの疑問に彩は質問で返した。
その様子を見ていた零次達は笑っている。

「それで、今日はどこに行きたいの?」
「えっとね・・・ 何だっけ、タマちゃん?」
「ウィンドスケールよ、ウィンドスケール」

ウィンドスケール(WINDSCALE)とは風の街、風都を中心に店舗展開しているアパレル関係のショップのことである。

「ウィンドスケール!? わたし、そこ行ってみたかったんだぁ・・・」

梨杏は珠音達が行こうとしていた場所を知ると自然とテンションが上がっていた。
多少、おしゃれに興味のある女の子ならウィンドスケール(WINDSCALE)は押さえておくべき場所なのである。

「ねぇ、さっきから言ってるウィンドスケールって何よ?」

先程からの話に付いていけなくなっていたティアナは梨杏達にウィンドスケールについて尋ねていた。
ティアナ達はまだ地球に来たばかりなのでファッションについて知らないことが多い。

「ウィンドスケールっていうのは風都っていう街を中心に店舗展開してるショップのことよ。 結構、素朴なデザインなんだけどそこがまたいいのよ」

珠音の説明にスバルは頷き、ティアナは納得したような表情をしていた。

「じゃあ、とりあえず風都に行こっか」

梨杏の言葉に彩達は頷き、すぐに準備を始めた。

「気だるい昼下がりだぜ・・・ 昨日の死闘が嘘のようだ・・・」
「翔太郎くん、黄昏てる暇があったらミミちゃん探してよ!」

風都、鳴海探偵事務所では相変わらずの日常があった。

「あのなぁ、亜樹子。 何で、最近、ペット探ししか仕事の依頼がないんだよ!?」
「仕方ないでしょ! 翔太郎くんが言う『ハードボイルド』な事件なんて今の風都じゃ起こらないんだから!!」

亜樹子と翔太郎が言い争っていると寝ていたはずのフィリップが起きてきていた。

「君達、静かにしたまえ。 うるさくて眠れないじゃないか」
「「すいません・・・」」

フィリップの言葉に二人は謝っていく。
それを聞いたフィリップはまた寝るために自分のベットへ戻った。

「お前なぁ・・・ もっと仕事選べって言ってんのが分かんねぇかな?」
「仕事選べる立場なわけ? 翔太郎くんの好みの仕事ばっかり選んでたらこっちは死活問題なのよ」

亜樹子は翔太郎に事務所の出納帳を見せた。

「な、何だよ・・・」
「何だよって何よ! 今月、翔太郎くんが買ったハードボイルド小説、いくらしたと思ってるわけ!?」

翔太郎は亜樹子から問い詰められると視線を逸らした。
そんな翔太郎の様子に亜樹子はこめかみに青筋を浮かばせながら笑った。

「ふーん・・・ じゃあ、今月の翔太郎くんの月給からもらっておくわね」

亜樹子の言葉に今度は翔太郎が詰め寄る。

「亜樹子! 何で、お前がうちの経費管理してんだよ!?」
「わたしが所長だからでしょ!?」

亜樹子の言葉に翔太郎はばつが悪くなったのか、事務所を後にした。

零次達は電車に乗り、風都まで来ていた。

「ここが風都かぁ・・・ 初めて来たなぁ・・・」
「ほんとだねぇ・・・ あれが風都タワーかぁ・・・」

梨杏と零次は間近で見る風都タワーの大きさにため息混じりに感想を言っていた。
スバルやティアナ達は言葉もなくただ風都タワーを見つめるだけだった。

「そんなに風都タワーが珍しいかい、お嬢さん方」

彩達の後ろから一人の男が声をかけた。
全員はその男の方を一斉に向いた。

「そんな顔しないでくれよ。 俺は左翔太郎、この街のハードボイルド探偵さ」
「「ハードボイルド??」」

彩とスバルは翔太郎が言った『ハードボイルド』という言葉が理解できなかったのか、首を傾げた。

「ハードボイルドっていうのは・・・」
「ハードボイルドっていうのはどんなことにも揺らがない鉄の意思を持った男性のことですよ」

翔太郎の言葉と重なるように由芽がスバルと彩にハードボイルドについて説明していく。

「なるほど~ ほんとに由芽は物知りなんだね~」
「ほんとだよ~ さすがユメちゃん!」

二人が由芽を誉めると由芽は照れくさそうにはにかんだ。

「まっ、そういうことだ。 つまり、俺みたいな奴のことさ」
「冗談でしょ? 初対面の女の子にナンパするようなのがハードボイルドって言えないわよね」

翔太郎の取り繕った言葉にティアナが鋭くつっこみを入れ、珠音も頷いていた。翔太郎は少しへこんだ顔をしたがすぐに表情を戻した。

「ところで、今日は何でこの街に来たんだ?」
「あたし達、ウインドスケールに行こうと思ってて」

翔太郎は珠音の言葉に表情を変える。

「ウインドスケールになら俺が案内するぜ」
「ウインドスケールの場所、知ってるんですか?」
「もちろんだ。 俺の帽子もウインドスケール製だからな」

そう言うと、翔太郎は珠音達に自分の帽子を見せた。そんなことをしていると翔太郎が持っている携帯が鳴った。

「あっ、フィリップか? どうした??」
『翔太郎・・・ 今すぐメモリを使ってくれ』

翔太郎に電話をかけてきたのは彼の相棒のフィリップだった。

「何かあったのか?」
『ダーククライムの神官でトライバル・エンドっていう奴に襲われてる・・・』

フィリップの言葉に翔太郎の表情が変わった。
零次は翔太郎の持つ携帯、スタッグフォンから聞こえてきた名前に表情を変えた。

「分かったぜ、フィリップ。 じゃあ、ファングジョーカーで行くぜ」

翔太郎はそう言うとUSBメモリーのようなものを上着の内ポケットから取り出し、それを起動させた。

『JOKER』

翔太郎の持つ、ジョーカーのガイアメモリが地球の声、ガイアウィスパーが鳴り響いた。
翔太郎の腰にはドライバーが装着されていた。

一方、フィリップが何故トライバル・エンドに狙われたのか、話は数分前に戻る。

「亜樹ちゃん、翔太郎はどうしたんだい?」
「翔太郎くんなら出かけたわよ」

少し不機嫌さが残る感じで話す亜樹子にフィリップはくすりと笑った。

「あっ、そうだ。 フィリップくん、風花饅頭買ってきてくれない?」
「あぁ、いいよ。 ちょうど、外の空気が吸いたかったところだからね」

フィリップは亜樹子からお金を受け取り、出かけた。

そして、その後でトライバル・エンドに襲撃されたのである。

「あなたがフィリップさんですね・・・」
「君がダーククライム神官、トライバル・エンドだね?」

フィリップの問いかけにトライバル・エンドは仮面越しに笑って答えた。
フィリップは後ろへ後退しながらタイミングを待つ。

「(まだドライバーが装着されていない・・・ 翔太郎、早くしてくれ・・・)」
【(悪かったな、遅くなってよ・・・ 行くぜ、フィリップ!)】

フィリップは自分の身体にダブルドライバーが装着されていることに気づき、後退を止めた。

「君が知っていることを教えてくれないかな?」
「わたしの知っていること・・・ 何ですか、それは・・・」

トライバル・エンドはフィリップの問いかけに惚けながらフィリップとの距離をゆっくり詰めていく。

一方、翔太郎が装着したドライバーにジョーカーメモリを挿入した。
すると、そのメモリが転送され、翔太郎の身体が倒れた。

「ちょっと、翔太郎さん!?」
「おい、あんた!!」

突然倒れた翔太郎に零次とスバルが詰め寄り、その身体を揺らしていく。
しかし、意識ごとジョーカーメモリを転送した翔太郎の身体が反応することはない。

「では、あなたを壊して地球の記憶、地球(ほし)の本棚をいただくとしましょう・・・」

トライバル・エンドはそう言うとフィリップに向けて剣を振るった。
しかし、その剣がフィリップを貫くことはなかった。
何故なら、彼を恐竜の姿をした機械が守ったからだ。

「来い、ファング!!」

フィリップの言葉にファングと呼ばれたメカ恐竜はフィリップの下へ駆け出し、彼の下へ行った。
フィリップはファングを変形させた。
フィリップが持つファングとは彼を守るために造られた自動行動型のガイアメモリなのである。
そして、ガイアメモリとしてのファングは牙の記憶を有している。

「【変身!!】」

フィリップはファングメモリを起動させるとそれをダブルドライバーのソウルサイドに装填した。
そして、ファングメモリを変形させた上でダブルドライバーを展開して変身していく。
すると、フィリップの身体が仮面ライダーW(ダブル)・ファングジョーカーに変わった。

「【(さぁ、お前の罪を数えろ!!)】」
「それがダブルの切り札ですか・・・」

トライバル・エンドの言葉に答えず、ダブル(ファングジョーカー)は勢いよくトライバル・エンドとの距離を詰めていく。
トライバル・エンドは距離を詰めてくるダブル(ファングジョーカー)に剣を振るっていく。
ダブル(ファングジョーカー)はトライバル・エンドの剣を右腕で防ぐと左手でタクティカルホーンを一回弾くと右腕からアームファングが現れた。

【てめえの剣なんか効かねぇんだよ!!】

ダブル(ファングジョーカー)の左目が赤く点滅すると翔太郎の声が発せられた。
トライバル・エンドはダブル(翔太郎)の言葉に何も言わずに剣を振るっていく。
しかし、ダブルはその太刀筋を見切り、かわしていく。

「君の剣さばきなど僕らには通用しないさ!」
【お前もここまでだぜ】

仮面ライダーW(翔太郎・フィリップ)の言葉にトライバル・エンドは何も言わずに剣を振るっていく。
しかし、ダブルはトライバル・エンドの剣をかわし、すれ違いざまにアームファングの刃でトライバル・エンドの身体を切り裂いていく。

「(これは・・・)」
【(どうした、フィリップ?)】

二人は共有している意識下で話をしていく。
フィリップはトライバル・エンドの身体に違和感を感じていたのだ。

「(奴の身体、単なる機械もしれない・・・ そうでなければ、あの手ごたえのなさはおかしい・・・)」
【(難しいことはどうでもいいさ。 それよりも、選手交代だ、フィリップ)】

翔太郎は自分の身体をスバルが担ぎ、運んでくるのが見えたのでフィリップに自分と代わるように指示した。
フィリップはそれに対して、トライバル・エンドとの距離を十分に取り、ファングジョーカーの変身を解除した。

「お前ら・・・ スバルと・・・」
「仮面ライダーイヴ・・・」
「イヴか。 っていうか、その声、零次か!?」

イヴ、零次は翔太郎の言葉に頷き、返事をした。
翔太郎はそんな零次、イヴを見て、笑みを浮かべた。

「行くぜ、フィリップ。 2ラウンド開始だ」
「了解だ」

翔太郎とフィリップは自身のメモリを起動させ、構えた。
なお、ドライバーは装着されたままだ。

「「変身!!」」
『CYCLONE』
『JOKER』

翔太郎の身体を風が包み、仮面ライダーWに変わった。
すると、今度はフィリップが倒れた。

「あ、あの!?」
「あぁ。 フィリップのことは気にすんな。 仕様だ、仕様」

仮面ライダーW(翔太郎)のぶっちゃけた言葉にイヴはくすりと笑ってしまう。
三人は構えを取るとトライバル・エンドを囲んだ。

「仕方ありませんね・・・ 本気でお相手しましょうか・・・」

トライバル・エンドはそう言うと仮面とマントを取った。

アイキャッチA(彩達、ウインドスケールにてお買い物)
スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION Episode-17 デュラハンの罠…の続きを読む
スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION | コメント:0 | トラックバック:0 |

宮内ミヤビさんから小説をいただきました♪♪

皆さん、どうもですよ♪♪
ひらひらですよ♪♪

今回は宮内ミヤビさんからいただきました、スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION Another world 最終話『Farewell』PART-A、B、Cを掲載しました♪♪

ミヤビさん、投稿ありがとうございました♪♪

それでは、またですよ♪♪
ひらひらでした♪♪
日記 | コメント:0 | トラックバック:0 |

スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION Another world 最終話『Farewell』PART-C

スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION Another world
最終話『Farewell』PART-C

(PART-Bからの続き)


「零……次」
 消え入りそうな声で、彩は少年の名を呼んだ。
 電子義眼が故障した所為で霞む視界。
 そこに映る少年は、悲痛な面持ちで自分を腕に抱き寄せている……本当なら、彼を悲しませるような事はしたくない。
 なのに、心の片隅では彼がこんなにも間近で自分を見てくれている事に、喜悦を感じている。
 泡沫の恋はついに成就しなかったが、それでも彼女はこうしているだけで幸せだった。
 先刻の爆発によって下半身と右腕が吹き飛んだ彩の身体は、特殊合金の骨格フレームや酸素を送り込む事によって膨張と収縮を繰り返す人工筋肉、血管の役割を果たすために張り巡らされたカテーテル、神経回路を刺激する電極配線や半導体、そして心臓の代わりに埋め込まれた小型動力炉が剥き出しになった無惨な姿に変わり果てている。
 そして、大破したボディからは人工血液が漏れ出て床に血溜まりを作っていた。
「これが……今のボクの身体だよ。あはは……ボク、もう人間じゃなくなっちゃった」
 完全に洗脳が解けた彩は、失った半身を見ながら渇いた笑い声を発する。
 自嘲めいた笑いではあったが、不思議と彼女に悲壮感は無かった。
「ボク……零次にいっぱい酷い事しちゃったね……タマちゃん、ユメちゃん……りーちゃん達にも……たくさん心配掛けちゃった……」
「もういい……もう……いいから……気にするなよ………そんな事」
 対して、彩を介抱する零次は嗚咽混じりに泣き続けている。
 彼女を討つ……彼女を解放させる……懊悩した末、そう決意して力を振るったはずなのに、零次の心には今になって言い様の無い悔恨が押し寄せていた。
「本郷さんや一文字さんなら、きっとお前を直してくれる……死にかけていた風見さんを仮面ライダーに改造して命を救ったって話してたから、きっとお前だって……」
 もう一度、彩と同じ時を過ごしたい……エゴだと分かっていながらも、その想いを止める術など今の彼には無い。
 残された僅かな希望に必死になって縋り付こうとしていた。
 しかし零次の言葉に、彩は何も答えず静かに微笑む。
 恐らく、彼女は自分の死期を悟っているのだろう。
 じきに費えようとする自分の命を前にしても表情に恐怖の色はなく、寧ろこれ以上ないくらいに清々しかった。
「零次……これ」
 人工皮膚か完全に破れてしまったが、辛うじて原型を留めていた左手を震わせて、彩は零次にずっと渡そうと思っていたものを差し出す。
 それは、小さな箱だった。
 包装紙とリボンで綺麗にラッピングされていたであろう箱は、人工血液によって赤く汚れ、固い紙で作られた箱も潰れて無惨な形になり果てている。
「これ……は?」

「ケホッ……ケホッ…………誕生日……おめでとう……」
 蝶の羽ばたきにも似た小さな咳き込みの後、彩は万感の想いを込めて彼を祝った。
 本当なら、ちゃんとした形で渡したかったのだが、もうそれは叶わない。
 こうしてる間にも、死の影は刻々と迫っているのだから。
「似合うかどうか分からないけど……一生けんめい……れいじに合うかなぁって……おもって……えらんだんだよ」
「彩……」
「ほんとうは……ケーキといっしょに……わたしたかったんだけど………ケーキ……つくれ……なかったから………ごめんね……」
 申し訳なさそうな呟きに、零次は無言のまま、しかし首を横に振るった。
「じゃあ……今度完成した奴を喰わせてくれ……そのケーキ作る前に死んだら許さねぇからな!!」
 途切れ途切れの言葉に対し、零次は満足に声を発する事が出来ぬまま叫ぶ。
 激昂から出た叫びではなく、大切な者を失いたくない一心で……。
 だが、彩はその言葉にも黙って笑みを浮かべるだけ。
 言葉を紡ぐだけの力が、彼女にはもうあまり残されていなかった。
「あけ……て……み……て……」
 プレゼントを受け取った零次が、ただ口を動かすだけにも等しくなっている彩の言葉に頷き、歪んだ箱を開けると、中にはシルバーのネックレスが入っていた。
 瀟洒なチェーンのトップには、精緻なデザインが施されたベルが付けられており、それが零次の手の中で揺れて、ちりん……っと、儚くも慎ましく、澄んだ音色がネックレスから奏でられた。
 まるで零次の悲しみを癒そうとするように、意匠を凝らした小さな鐘は、暖かみのある音を響かせている。
「良……かっ……た……ちゃん……と……渡……せ……て……ボ……クね……れい……じ……の……こと……だい……す……き……だ……よ……」
 彩が言い終えた後、零次はそのネックレスを首に下げようと試みる。
 慣れない止め具に悪戦苦闘していると、ネックレスが揺れ、再び優しい音が響いた。
「彩……付けてみたぞ。似合うかどうか見てくれ」
 その言葉に、答えは返ってこなかった。
「なぁ彩、頼むよ……俺こういうアクセサリーとか……付けた事無いからさ、自分じゃ……似合うかどうか分からねぇんだ……似合わないんなら馬鹿みたいに大笑いしてくれよ……だから……」
 滂沱の涙で顔を濡らす零次の声が、震え、最後は言葉にならない。
 もう一度だけ、その声を聞きたい……彼はそう願った。




……うん、ぴったりだよ。



 その声は、いつ聞こえたのか分からない。
 だが、零次には確かに聞こえた。
 あの爛漫な声音が……。
「彩……彩っ!!」
 何度身体を揺すろうとも彩はもう、何も答えなかった。
 笑う事も。
 怒る事も。
 泣く事も。
 忙しなく表情を変える事を……もう彩はしなかった。
 ただ穏やかな表情だけ浮かべて……彼女は眠りについていた。
 今、零次の腕の中に『ある』のは、心なき者によって身体を辱められ、実験という形で使い捨てられた少女の亡骸……だが、表情に苦しみや悲しみはない。
 まるで、赤子のように無邪気な『寝顔』を浮かべて安堵した様子を見せて眠っていた。

「彩……」
 その名を呼べば、いつも純粋無垢な笑顔が返ってきた。
 だが今は、声を届けても虚しく消えゆくだけ。
 それは、零次が再び突き付けられた現実。
 もう彩という少女はこの世にはいないという……残酷な現実。

「ぐっ…………ぐぅぅぅ………うっ……うっ……ぐぅ………うぅぅぅぅぅぅああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ!!!!!!!!!」
 もう抑える事が出来なかった。
 彩の亡骸を抱え、激情に駆られた零次が、声の限りに慟哭する。
「何が仮面ライダーだ! 何が正義だ! こんな力があったって……結局、結局大切なものを守れなかったじゃねぇかっ!!」
 辺りに瓦礫が降り注ぐ中、零次はただひたすら感情を叫びに変えていく。
 振り向ける所のない彼の激情は、暴走して止まる事を知らない。
 喉が潰れ、声がかすれようとも、零次は叫び続けた。
 怒り、悲しみ。自分の中にある負の感情全てを爆ぜさせるように……。
「いったい……何の為に……今まで強くなろうとしてきたんだ? 何の為に……今まで戦ってきたんだよ」
 零次の慟哭に今は答えを与えてくれる者は誰一人としていない。 
 彼の名を叫ぶ二人の青年が駆け付けても、零次は彩の頭をかき抱いたまま、そこから動く事は無かった。



 明野宮市にある小さな霊園に零次達が訪れてきたのは、あの戦いから丁度二ヶ月が経った日の事。
 慣れない土地なので少し迷ってしまったが、珠音と由芽に場所を聞いて何とか無事に辿り着く事が出来た。

“そういえば、アイツと初めて出会った時も道に迷ってたんだよな……”
 友人の眠る前で、零次はそんな事を考えながら雲一つ見当たらない快晴の空を見上げる。
 寒さが一層強くなっているというのに、陽光はこれ以上ないくらいに暖かった。
 羽織っているフェイクレザーのジャケットや首に巻いた細いストールが鬱陶しく思えるほどに。
「アーヤ、カツサンド持ってきたよ。後でゆっくり食べてね」
 かつてその渾名で呼んだ友人の墓前に、大好物だといって幸せそうに食べていたものを供えたスバルは、いつもの明るい調子で語り掛ける。
 外見に似合わず気弱な面もあるというのに、悲しむ素振りは全く見せていない。
「花より団子なアンタがこんなもん喜ぶとは思わないけど……ここに置いておくわね」
 持ってきた白百合の花を淡々と花立に差すティアナは、気丈に振る舞ってはいるものの、やはりまだ気持ちの整理が付いていないのか少し目を伏せる。
 だが、スバルでさえ耐えているのに自分が耐えない訳にはいかないと自身に言い聞かせ、わざとらしくドライに徹した。
「アーヤ……わたし、とうとう世界ランキングに入ったんだよ。まどかにはまだ全然届かないけど、でもようやく世界チャンピオンになれる為の橋が掛かったよ」
 水鉢に水を供え、小分けした線香束に火を点けてから香炉に置いた梨杏は豊かな黒髪を耳に掛け、笑顔でこれまでの戦績を報告する。
 彼女もまた、決して涙を見せまいと微笑んでいた。
「ほら、零くんもアーヤに何か言ってあげて」
「あぁ……」
 後ろで空を見上げていた零次に声を掛けると、零次は短く呟いて墓前に歩み寄る。
「彩……悪かったな……しばらく来てやれなくて」
 もう帰ってはこない少女に、零次は言葉を紡ぐ。
 あの後、零次は駆け付けた剣崎と渡の手助けによって崩壊する研究所から脱出できたものの、彩を失った悲しみに打ちひしがれていた。
 基地へと帰還した零次を待っていたのは天道の労いと、仲間達の必死な励まし。
 それが無かったら、彼は今ごろ現実から目を背けて絶対ここには来なかっただろう。
 壊滅状態に陥っていた新宿の復興と救助活動、そして事後処理もようやく一段落し、ちゃんとした形で墓参りに来れるまで随分と時間は掛かってしまったが……。
「俺……やっと分かったよ。何のために戦うのかっていうのが」
 悩み抜いて、ようやく辿り着いた思いを少女に告げるべく、零次は一呼吸置いてから語りだす。
「それは……お前がいつも俺達に見せてくれたような笑顔を……この世界にいる人達の明るい笑顔を守りたい。その人達の大切な居場所を守りたい……そう誓って今は戦ってる」
 軽く拳を握り締め、静かかに語る零次は、未だ終わる事を知らないダーククライムとの戦い続ける事を新たに決意する。
 零次の語りに、スバル達も黙って耳を傾け、そして彩が眠る墓をじっと見つめていた。
 ひとしきり零次が語り終えると零次達は両手を合わせ、目を閉じる。その瞼の裏には……今でも鮮明にあの笑顔が蘇る。
 ちりん……耳を澄ませば、零次の胸元で揺れるシルバーのベルが、優しげに囁く。
 彼らの言葉に答えるように、暖かい音色が───そこに響き渡っていた。


          <了>
頂き物 | コメント:0 | トラックバック:0 |

スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION Another world 最終話『Farewell』PART-B

スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION Another world
最終話『Farewell』PART-B

(PART-Aからの続き)



「うぅぅぅっ……痛い……痛いよぉ……」
 顔や腕に管と思われる筋が枝分かれするように浮き上がり、彩は自分の顔を抑えながら苦悶の声を上げていた。
 さながら奇病に身体を蝕まれ、施しようのない内なる激痛に苦しむ者のように。
「彩……どうしたんだよ彩!!」
 呆然としていたイヴが我に返ると、慌てて蹲った彩の背中に手を置く。
 改造人間としては、リジェクションが起こらない唯一の成功例であるイヴには何故彩が突然苦しみだしたのか理解出来なかった。
「うぅ……うぅ……痛………いぃぃ……痛い……げほっ……げほっ、げほっ!!」
 総身を駆け巡る痛みを訴えながら猛烈に咳き込むと、再びせり上がってきた血を吐き出す。
 それと同時に、リノリウムの床がペンキでもぶちまけたかのように、一ヶ所だけが赤に染まった。
 だがそれは、本来人間が吐くような血ではない。
 普通、人間は喀血すると清流水のようにさらさらとした鮮やかな色の血を吐く。
 それに対し彩の吐いた血は、まるで泥水のように粘性を含んでおり、色も死人の血のように濁っている。
 恐らくは、これも人工物の類なのだろう。
「しっかりしろ、彩っ!!」
「零……次……痛い…………痛いよ………助けて………零次……」
 口を衝いて出たイヴの叫びに、彩は弱々しく言葉を紡いでいた。
「お前……今……」
「零次……助けて……零次……どこに……どこにいるの……?」
 身体を丸め、虚空を掻き毟るように手を伸ばして彩は助けを求める。
 双眸から涙を溢れさせ、悲壮な眼差しで彼の名を呼ぶ表情は、はぐれた親を探し求める迷い子のようだった。
「彩……」
 小刻みに震えるその手を、零次はそっと掴もうとする。
 だが……。
「い、いっ……嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 突如、彩はイヴの手を振り払い、顔を涙でぐしゃぐしゃに汚したままパニック状態にも等しい悲鳴をエントランスに響かせる。
「返して……ボクの身体返してよぉっ!!」
 その絶叫は、ヒューマンサイクロプスではなく、他ならない美島彩の声。
 普段の彩なら、絶対に発する事の無い悲痛な叫び。
 彼女はリジェクションの痛みによって、洗脳が一時的に解除されつつあった。
 だが、中途半端に洗脳が解けてしまった故に、身体を改造された事や今までの記憶全てが一気にのしかかる。
 それは、彼女にとって余りにも精神的負荷が大き過ぎた。
 身体を改造されたとはいえ、心は生身のまま。
 当然、過剰なストレスが加われば簡単に崩壊してしまう。
 人間の心というものは、それほどまでに繊細かつ脆弱なのだ。
 はたして彩が泣き叫ぼうとも、彼女の身体を改造した者は訴えを聞き入れるつもりなど毛頭なく、静観を決め込んでいる。
 所詮は実験台。
 必要が無くなれば捨てられるもの。
 そんな理由だけで、彼女は人として生きる権利は愚か、夢も将来も仲間とともに過ごす平穏も全て剥奪されたのだ。
「彩、俺だ……零次だ。分かるか?」
 半狂乱で泣訴する彩の手を今一度握り、イヴは自分が傍にいる事を告げるべく柔らかな声音で呼び掛ける。
 一刻も早く彼女を安心させてあげたい……その思いが考えるよりも早く行動に移していた。
「俺は……ここにいる」
「零……次……」
 顔を上げてイヴの顔を確認すると、僅かに安堵したのか先ほどに比べて表情が和らぐ。
「ごふっ……がほっ!! あぁ……あぐうぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 だが、感極まった彩を嘲笑うかのように、再びリジェクションの激痛が彼女に襲い掛った。
 人工器官を通じて逆流してくる血が口腔から迸った後、彩は頭を抱えて顎骨が外れんばかりに大口を開け、喚き、床を転げ回る。
「お、おい彩っ!!」
 イヴの呼び掛ける声に応じる余裕さえ、今の彩にはなかった。
 大量の血泡を口から吹き出し、白目を剥きながら痙攣する様は、水を見せると恐怖でのたうつ狂犬病のそれに近い。
 誰の目から見ても正気を保っていられるような状態ではなかった。
 暫しの悶絶の後、彩は突然、ぴたりと動きを止める。
「メイレイ……カメンライダーイヴヲ……ハカイ……ストーン・イヴ……カイシュウ」
 そして、床に仰臥していた状態から身を起こすと、光を宿さなくなったティーブラウンの瞳をイヴに向ける。
 一度は解けかけていた洗脳プログラムが、皮肉にも再び起きたリジェクションの激痛とショックで起動してしまったのだ。
 もっとも……既に彩の意識はなく、彼女はインストールされたプログラムを実行するだけのマリオネットとして『動かされている』だけになってしまったが……。
 埋め込まれた電子デバイスや機械化された神経回路全てが停止したため、関節部分から金属が擦れる耳障りな異常音を鳴らし始める。
 それでも拳を固めた彩は、ふらつきながらイヴに接近して彼の胸に拳撃を放っていく。
 だが、その拳は先ほどのような威力は完全に失っていた。
 かつてストリートで梨杏が賞賛したその拳撃は、今では動物の一噛みにすら劣りを見せている。
 小さな拳が強化皮膚の身体を叩くたび、カツン……カツン……という鋼鉄扉をノックするような滑稽な音が響き渡っていた。
「ぐぶっ……げほぉっ! ゴフッ……!!」
 何度目になるであろうか……?
 吐き出した血が自分のドレスだけでなく、イヴの身体にも飛散し、銀色のボディに赤い斑点がこびり付く。
「彩……もういいよ……もういいだろう!!」
 彩の惨めな姿を、これ以上見るに耐えられなくなったイヴは、声を限り叫んだ。
「カメンライダーイヴ………ヲ……ハカイ……スル………ソレガ……トライバルエンドサマノ……メイレイ……」
「ぐっ……彩……」
 制止の言葉を聞き入れる事すら出来ず、彩は機械的な口調で植え付けられた命令を声で告げる。
 その様は、スクリプトを読み込んで音声をアウトプットするだけのコンピュータ同然だった。
 ダメージなど被るはずもない拳撃を放つだけの無意味な行動を、ひたすら繰り返す彩の身体に、イヴは前蹴りを奔らせる。
 もう防ぐ余力さえ残っていないのか、彩はただ胸元を蹴られるまま後方に吹き飛ばされ……その後、小刻みに身体を振動させながら再度立ち上がった。
 総身を駆け巡る紫電、硝子を爪で掻く音に似た異常音、夥しい吐血、磁器人形のような無表情、痙攣する肢体、おぼつかない足取り、そして虚ろな眼差し。
 もう彼女らしさは微塵も無い。
 利用価値すら失い、ガラクタにまで成り下がった人形……今の彩を差すならば、そういった表現が妥当であろう。
「はぁぁぁぁぁっ……」
 もう……これ以上苦しませはしない。
 全てから解放してやる。
 苦悩した末に頑強な決意を固めたイヴが、双手を広げて両膝を僅かに折ると、ストーン・イヴのエネルギーが右脚に集中し、彼の脚部はシルバーメタリックのボディよりも更なる輝きを纏った。
 その構えは、彼が必殺技を繰り出す為のスイッチ。
 幾度となく敵を撃破してきたその技を、彩に放つ……彼女を苦痛から解き放ち、安らぎへと導かせる為に。


『助けてくれてありがとう。ボクは彩、美島彩だよ』

『うん、この辺でストリートファイトやってるから、ああいう風にボクに挑戦してくる人多いんだよ』

『今度ボクも零次が住んでる東京へ遊びに行ってみるね』

『おはよう零次、今日もトレーニング? 朝から早いね~、こっちに来て話しようよ』

『零次……中途半端な気持ちで戦い方を教えてってボクに言ってるの? だったら怒るよ』

『零次が仮面ライダーでも、ボクにとって大切な友達なのに変わりは無いよ。だって零次は零次だもん』

『零次が本当に強くなりたいって思ってるならボクも協力するよ。だけど約束して……絶対に死んじゃダメだからね』

『梨杏ちゃん、大人っぽくて綺麗だったね~。それにすっごく強かったし。零次は幸せだね、梨杏ちゃんみたいな娘が幼なじみで』

『この料理、天道さんが全部作ったんだって。凄いよね~。あ、この麻婆豆腐おいしそう! 零次も一緒に食べようよ!!』

『梨杏ちゃん負けちゃったね……でも、最後まで諦めずに闘ってたんだから本当に凄かったよ!』

『零次……目大丈夫? ごめんね、ボク何も出来なくて……』

『やったね、零次。あとはフェイトさんを助けるだけだよ! 頑張って!!』

『零次……ユメちゃん、どうしちゃったんだろ? ボク、ユメちゃんを怒らせるような事しちゃったのかな……?』

『ありがとう、零次……大切にするね』

『えへへ……むぎゅ~』


 そう思った刹那、彩と過ごした日々の情景が脳裏を去来する。
 彼の記憶にある少女は、いつも表情豊かだった。
 笑って、泣いて、怒って……目まぐるしく表情を変える彩の姿が、なおいっそう彼の中で鮮明に映し出される。
 決して彼女と長い時を共に過ごした訳では無い。
 彼女の全てを知っていた訳では無い。
 そして……彼女の気持ちには、ついぞ気付けなかった。
 大切な友達……そう思っていただけに、彩の告白は彼に衝撃を与えるには十分なものだった。
 だが、そんな彼女の純粋な気持ちすらも敵対する者達に体のいい道具として利用され、こんなにも残酷な結末を迎える……。
 なぜ彼女がここまで運命を狂わされなければならないのか?
 なぜ全てを奪われなければならないのか?
 そんな思いに苛まれたイヴが、素顔を覆う仮面の奥で声を殺し、慟哭する。
 止める事は愚か、抗う事すら叶わない悲劇と絶望を前に、彼は余りにも無力だった。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
 悲嘆を振り払うかの如く咆哮するイヴが、膝を僅かに曲げた状態から地を蹴って高らかに跳躍する。
「ライダァァァァァァァァァァァァキィィィィィィィィィック!!!!」
 叫びながら繰り出されるそれは、彼の刺客として送り込まれたサイクロプスシリーズを悉く破壊してきた必殺の飛び蹴り──ライダーキック。
 流星の如く輝線を描いて放たれるその蹴りが彩の胸に叩き込まれ、その小さな身体を貫く。
スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION Another world 最終話『Farewell』PART-B…の続きを読む
頂き物 | コメント:0 | トラックバック:0 |

スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION Another world 最終話『Farewell』PART-A

スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION Another world
最終話『Farewell』PART-A


 仮面ライダーイヴは、両拳を胸の前にした構えで彩の出方を伺っていた。
 彩も格闘戦を得意とする為、迂濶な接近は命取り。
 尚且つ、相手の手の内を理解している以上は、闇雲な打撃は出さぬが上策といえる。
 床をしっかりと踏みしめ、まるで脚に樹木の根でも生えたかのように、そこから一歩も動く事はなかった。
「てっきり真っ向から突っ込んでくると思ったけど………随分慎重になったんだね、仮面ライダーイヴ」
 彩はもう、彼の事を零次とは呼ばなかった。
 血液交換の後、完全なる洗脳を施された彼女の電子義眼は、眼前のライダーを攻撃対象として映している。
「………」
 彼女の皮肉に、イヴが出した応えは──無言。
 もはや動じる気配さえ見せない。
 泰然自若。その言葉を表すかのようにイヴは閉口したまま彩を見据えている。
「むぅ~……」
 自分が無視されたと思ったのか、不機嫌さを隠す事もなく彩は口を尖らせた。
「じゃあ……ボクのスピードについて来れるかどうか試してあげる!」
 焦れる事に慣れていない───いや、単純に我慢が足りないだけの彩が床を蹴ると、市街地戦の時と同じサブソニックのスピードで一気に零次との距離を詰める。
 やはりその軽捷な身のこなしは、肉眼で捉える事は不可能だ。
 肉食動物よりもなお一層速い動きに、しかしイヴは何か策があるのか静寂を破る事なく機を待ち、その場に佇む。
“まだだ……まだ早い”
 自身に言い聞かせて、イヴは依然として不動のまま。
 その間に、彩は眼前にまで差し迫っていた。
「やぁぁぁぁっ!!」
 寸単位までの距離に肉薄した刹那、彩はワンインチパンチを放とうとしてイヴの鳩尾に拳を押し当てる。
 内功を使う事が出来ないので、そう呼称していいのかどうかは分からないが、身体を改造された彩のワンインチは、生身の時のように氣を練ってから放つのではなく、内臓されたマイクロリニアモーターを駆動する事によって運動神経回路に膨大な電流をエネルギーに変換して送り込み、それに生じたパワーを利用する為、以前よりも僅かな動作で迅速かつ強大な拳撃を放つ事が可能となった。
 それは、生身の人間では辿り着く事の出来ない境地。
 それと同時に、人ならぬ異形の者であるという証だ。
“───今だっ!!”
 彩が寸勁を叩き込もうとした刹那、レーザーポインターよろしく的確に姿を捉えたイヴが、彼女の腹部にワンインチよりも速く、そして強烈な拳撃を叩き込む。
「ぐぅっ……!?」
 信じられないといった様子で、彩は目を見開く。
 何故イヴが自分のスピードを見切る事が出来たのか……今の彩には理解する事が不可能であった。
「これは……お前や梨杏、スバルが協力してくれたおかげでモノに出来た心眼だ。心眼は目に捉えられぬものを捉え、心の中に実像を映す」
 イヴの秘策……それがこの心眼だった。
 かつて、フェイト────正確には彼女に憑依したスタッグビートルサイクロプスによって両目を傷付けられ、目が見えなくなったときに修練を重ねて会得した『術』である。
 最も、心眼を修得する時に協力してくれた彩に使う日が来るとは思わなかったが。
 つくづく、自分の運命を勝手気ままに弄ぶ神とやらに唾を吐きたくなっていた。
「あっ……あぐぅぅ……」
 腹部を双手で抑える彩は、口腔が覗くほど大口を開けて苦しみむせぶ。
 身体はくの字に折られ、背中を丸めている様は拳撃の威力そのものを示す。
 それに伴い、床を踏み鳴らす音がエントランスに響いた。
 彩が後退した所為である。
「はぁぁぁぁぁ………」
 動きを止めた彩を見て好機と踏んだイヴは、静かな息吐きの後、速射砲のような正拳の乱打を彩のボディに叩き込む。
 銀色の強化皮膚で覆われた拳が、彩の腹部、胸部といわず無作為に殴り付ける様は、容赦という文字が浮かばない。
 イヴも本気だったのだ。
「おらぁっ!!」
 殴打のラッシュに次いで繰り出されるは、中野洋子直伝のミドルキック。
 腰と軸足の回転を活かした蹴りは、やはり強化皮膚の力によって戦車装甲すらも容易にへし曲げる威力を誇る。
「あがぁっ!?」
 彩の動作速度を越えた遷音速で放たれる白銀の軟鞭。
 それによって脇腹を抉られ、小柄な身体を吹き飛ばされた彩は───その衝撃に抗う事もなくエントランスホールの壁に衝突すると、コンクリートで作られた壁は凄まじい破砕音を轟かせて瓦礫となり、彩はその中に埋没してしまった。
「あははは……やっぱり強いね、仮面ライダーイヴ。これならトライバル・エンド様が警戒する訳だよ」
 濛々と粉塵の白煙を上げる瓦礫の山から這い出し、彩は服に付いた埃を掌で払う。
 必要以上にレース生地やフリルをあしらったダークカラーのドレスが所々破け、そこから覗く柔肌を模した白い人工皮膚も破損してクロームメタルの装甲が剥き出しになっていた。
 しかも、衝撃によって内部器官も故障したのか全身からはプラズマが発生。
 内部の大半は、臓腑ではなく人工臓器を詰め込まれてはいるが、脳髄の中枢神経には半導体を埋め込み、末端神経には配線を張り巡らせている。
 それだけでなく身体のあらゆる部位に電子デバイスを搭載している故、至るところから漏電してしまったのだ。
 だが、彩はさほどダメージは無いといった様子で───そう見せているだけかもしれないが───呼吸を正す。
「でも……ボクに格闘戦を挑むのは失敗だったね」
 依然、総身に紫電が駆け巡っていながらも不敵に唇を歪ませて、彩は再び構えた。
 利き手、利き足を前に出した半身の構え……それは幾度となく見てきた彩のスタイル。
 それが今、自分を標的として拳を向けられている。
「……失敗かどうかは、やってみなきゃ分からねぇだろ!」
 イヴもまた、拳撃を繰り出そうとして駆け出すが、対して彩は助走を付けてから弾丸よろしく疾走。
 そして急激に身を倒し、スライディングで床を滑りながらイヴの脚を刈る。
「くっ!?」
 足下を掬われバランスを崩したイヴの体躯が、ふわりと宙を舞い、床に落下した。
 息付く暇なく、立ち上がった彩は倒れ込んだイヴの腹部に踏み蹴りを叩き込もうとするが、咄嗟の判断でイヴは転がりながら踏みつけを躱す。
 辛うじて避けた一撃に安堵しつつ片膝を付いてから身を起こすが、彼の眼前に待っていたのは、彼女の蹴りだった。
「がふっ!?」
 顔面を直撃したのは、計り知れないパワーを秘めた彩の得意技、サイドキック。
 パンプスの靴底が鮮やかにクリーンヒットした衝撃で、イヴの仮面に皹(ひび)が入った。
 幸か不幸か、衝撃は仮面で留まった為、強化皮膚のマスクに覆われた頭蓋や脳に影響は無かったが、精密危機である複眼が割れてイヴの視界に灰色の砂嵐が映り込んでしまう。
 のみならず、どうやらサウンドウェーブレーダーも故障したらしい。
 耳障りなノイズが彼の聴覚を襲った。
 サウンドウェーブレーダーとは、文字通り音波を感知する為の人工器官であり、イヴだけでなく他のサイクロプスシリーズにも内臓されている。
 このサウンドウェーブレーダーは、半径20メートル以内のあらゆる物音の音波を拾う事が可能で、範囲内であれば僅かな音でも聞き逃す事はない。
 どんなに離れた距離でも草木の擦れやサイレンサーによって音を消された銃声、果ては電子音から小動物の息遣いまでも聞き取る事が出来るのだ。
 故に、それの故障はイヴにとっては致命的たるものだった。
 心眼は目で捉えられないものを捉えるといっても、大半は視覚に頼る事を放棄して、聴覚と触覚を最大限に研ぎ澄まさなければ為せぬ技術だからである。
「クソッ……」
 サウンドウェーブレーダーを自己修復すべく、慌てて内臓されているリカバリーシステムのアクティベートを試みるが、その隙に彩は蹴りのフォロースルーから体勢を立て直して高々と跳躍していた。
「せーの……やぁぁぁぁっ!!」
 垂線を描いて飛翔する彩が、フィギュアスケートのショットガンスピンのように身体を旋回させてイヴの側頭部に後ろ回し蹴りを放つ。
 スカートの裾を翻して放たれるそれは、先程の意趣返し。
 イヴの蹴りに比べれば威力は劣るものの、やはりそのスピードは折り紙付きといえる。
「おわぁっ!?」
 幸いにも、幼少時の空手経験によって培われた防衛本能が働いたイヴは、彩の踵を片腕のみでガードするが、衝撃を緩和させるまでには至らず。
 身体が床を擦るほどの高度で弾かれる。
 その距離、およそ五間。
 あわや中央の柱に右半身を叩きつけられるといった寸前、イヴは前転受け身の要領で鞠のように床を転がって衝撃を分散する。
 そして、その勢いを殺す事なく床を蹴って立ち上がった。
「言った通りでしょ? ボクに格闘戦挑むのは失敗だって。だってボクこんなに強くなったんだもん」
 着地後、ピンク色の舌を出して笑う彼女は、相変わらず自分の力を誇示するかのように言い放つ。
 以前までの彩なら、例え自分の力量が相手に勝っていようとも、それを鼻にかけるような事は無かった。
 だが今は、与えられた力を振るって驕り高ぶった様相を見せている。
 闘士としては愚かな事甚だしい。
 かつて純真なまでに強さを追い求め、自らを錬成していた努力家の美島彩はもういなかった。
「強くなった? 笑わせるんじゃねぇよ」
 真っ向から彩を見据えるイヴが、侮蔑も露に失笑する。
「……どういう意味?」
「俺が知ってる彩はな……もっと真っ直ぐで、もっと純粋な拳を打ってきた。でも……今のお前にはそんなもの微塵も無い」
「だから何なの?」
「分かってねぇみたいだから単純に言ってやる……今のお前の腐れきった攻撃なんざ、欠伸が出るほど簡単に捌けんだよ!」
 反響する一喝。
 それを聞いた彩の相好が、憤怒の色に染まる。
「そんな身体で言ったって何の説得力も無いよ!!」
 今度は彩の怒声が跳ね返ってきた。
 眦を決して再び見せるは残像を残した早駆け。
 極限まで強化された腿力の伸びを効かせて間合いを詰める。
「はぁぁぁぁっ!!」
 烈帛の気合いとともに放たれるは、胸元に照準を定めた縦拳の直突き。
 しかしイヴは、その縦拳を空手の中段受けで事もなげに防ぐ。
「う、嘘っ!?」
「だから言っただろ? 簡単に捌けるってなぁ!!」
 会心の一打を綽々といった様子でガードされて愕然としている彩を尻目に、イヴは彼女の首の後ろに手を回して上体を無理矢理引き寄せると、鳩尾に膝を突き刺した。
「げほっ、げほっ……あがっ……ぐぅぅ」
 鋭角に曲げた膝蹴りで急所を刺された彩が、とうとう両膝を付いて咳き込む。
 先刻、壁に激突した際のダメージで身体の内部を故障した彼女にとってそれは、拷問にも匹敵する責め苦であった。
 体内が全て人工臓器とはいえ、人体を模したそれは無論精密なもの。
 天文学的数値を叩きだす衝撃を与えれば、確実に内傷は被る。
「うっ……うぅ……」
 イヴの胸元まであるかどうかの矮小な体躯を震わせて立ち上がる彩は、もうダメージを隠しきれなかった。
 だが、人形細工のような容貌を歪ませながらも彼女は両拳を握る。
「ボクの攻撃……簡単に捌けるんだよね? なら、これでもそんな事言えるの!?」
 叫んだ刹那、両腕に嵌められた手枷と巻き付いた鎖──神経回路のリミッター的役割を果たしているそれを外し、双手から縦拳の連撃を繰り出す。
 詠春拳という中国拳法の技術、連環拳──チェーンパンチだ。
「くぅ……!?」
 その名の通り、連ねる鎖の如く次々と暇なく繰り出される攻撃は、一呼吸の間に二〇を越える手数。
スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION Another world 最終話『Farewell』PART-A…の続きを読む
頂き物 | コメント:0 | トラックバック:0 |

宮内ミヤビさんから小説いただきました♪♪


皆さん、どうもですよ♪♪
ひらひらですよ♪♪

今回は宮内ミヤビさんからいただきましたスーパーヒーロー作戦 NEW MISSION Another world第二話『ヒューマンサイクロプス』とスーパーヒーロー作戦 NEW MISSION Another world第三話『騎士の涙』を掲載しましたよ♪♪


クオリティの高さと執筆の速さはわたしも見習わないといけないなと思いますね♪♪

感想はコメントにてお願いしますね♪♪

ひらひらでした♪♪


日記 | コメント:0 | トラックバック:0 |

スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION Another world第三話『騎士の涙』

スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION Another world第三話『騎士の涙』



 零次の乗るマッハアクセルが、時速二〇〇キロで首都高を駆けていた。
 一切スピードを緩める気配はなく、ハイウェイロードを走る車や輸送トラックの間を縫うようにして器用に走り抜け、車線を変えては追い越し、また車線を変えては追い越していく。
 端から見れば、スピード狂がその速度に酔いしれ、道路交通法もマナーも無視した危なっかしい運転をしているだけにしか見えないが、彼がそんな人間達とは決定的に違うのは、マシンと一体化したような見事なライディングテクニックを駆使しているからである。
 車体を傾けて左右にハングオンしながらハイウェイを走っていると、ジャンクション付近に差し掛かり、その手前にあるインターチェンジで降りて一直線に市街地を駆け抜けていった。
 マッハアクセルのナビゲーションによれば、この市街地を抜けた先の郊外に、目的地である太陽光発電研究所があるという。
 自然と、右手で握り締めたスロットルに力が込められた。
「ギィー!!」
 だが、そんな零次を待ち伏せていたかの如く、ダーククライムの戦闘員達がマシンを駆って零次の前に立ちふさがる。
 咄嗟に零次はマッハアクセルを横滑りさせてブレーキングし、タイヤをスリップさせながら急停止した。
 耳障りな音の後、辺りにタイヤが磨耗して、ゴムを燃やした時と同じ異臭が漂う。
「クソッ、こいつらの相手してる暇はねぇってのに………」
 戦闘員の数は目測で約二十人。
 変身して闘ったとしてもかなりの時間は消費する。
 一か八かで強行突破を試みるか……そう考えもしたが、今は下手げにダメージを受けたくはない。
 何より、彩を救出する事の方が最優先なのだから。
「ククク……よく来ましたね。仮面ライダーイヴ」
「トライバル・エンド!?」
 思案を巡らせている零次の眼前に、トライバル・エンドが姿を現した。
 それを見るや否や零次はフルフェイスのヘルメットを外してマッハアクセルから飛び降りる。
 仇敵を前にした彼の表情は、怒りに満ち満ちていた。
「彩を……彩を返しやがれ!!」
「やれやれ……物分かりの悪い王子様ですね。あのお姫様はもう貴方を敵としか見なしていないというのに」
「彩は絶対に俺が連れて帰る! あいつをテメェらの玩具にして堪るか!!」
「出来ますか? 貴方一人で」
「一人じゃない」
 怒号を向ける零次に対し、戦闘員を従えて驕慢さを隠す事なく笑うトライバルエンド。
 だが、そんな彼らの前に、二人の茶髪の青年が現れた。
 剣崎一真、そして紅渡である。
「仮面ライダーは一人じゃない……それはお前が一番良く分かってるはずだ。トライバル・エンド」
 精悍な顔立ちをした剣崎が、青い指貫きタイプのレーサーグローブを嵌め直してトライバル・エンドを睨み付ける。
「貴方達は……」
「零次君一人だけが研究所に向かっていると思った?」
 表情こそ柔和だが、それでいて鋭い光を双眸に宿した渡が言い放つ。
 二人もまた、天道に出動命令を受けて研究所へと向かっていた最中なのだ。
「零次、ここは俺達に任せて、お前は早く彩ちゃんを助けろ」
「えっ!?」
「俺だって天道の命令には納得出来ない……必ず彩ちゃんを助ける手立てがあるはずだ!」
 剣崎の言葉に、零次は目を見開いて驚愕した。
 それは……命令違反も辞さないといった様子である。
 だがそれは、幼い頃に両親を失って以来、人々を守りたいという想いで戦っている正義感の強い彼らしい台詞だ。
「僕と剣崎さんさえいれば、こんな奴ら直ぐ片付く。だから早く行ってあげて」 剣崎とは対照的に、温厚で優しい渡らしく零次に柔かな笑みを浮かべているが、その言葉には自分達に任せて先に行けという頑強な意志が込められている。
「剣崎さん……紅さん…………」 
「早く行けっ! 零次!!」
「はいっ!!」
 剣崎の一喝により、零次は直ぐ様マッハアクセルを走らせていった。
「よし……こいつらを一気に片付けるぞ、渡」
 零次が走り去っていたのを確認して、剣崎はブレイバックルを腹部に当てた。
 そして、剣崎の言葉に、渡は静かに頷く。
「変身!!」
『TURN──UP』
 ブレイバックルにカテゴリーエースのカードを差し込み、ベルトのバックル部分……ラウズリーダーが回転すると、巨大なカード状のゲートが出現。
 剣崎が疾走してそのゲートを潜ると、ヘラクレスビートルを模した鎧、ブレイドアーマーが装着され、剣崎は仮面ライダーブレイドに変身する。
「よっしゃあ! キバッて行くぜ!!」
 剣崎の変身後、キバットバットⅢ世が自分の頭上を飛び回るのを確認した渡がその手を伸ばした。
「ガブッ」
 そして、キバットが渡の腕に噛み付くと、体内に魔皇力が注入されて渡の腰にベルトが巻き付く。
「変身!!」
 渡の叫びとともに、ベルトの中央にキバットがぶら下がると渡の身体にキバの鎧が装着され、渡は仮面ライダーキバとして覚醒した。
「良いでしょう。あのジョーカーを封印した貴方と、人間とファンガイアのハーフである貴方の力にも興味がある……今後の研究の為のサンプルとなってもらいますよ……奴らを捕らえなさい」
「ギィー!!」
 キバとブレイドに変身した二人を見て、トライバルエンドはダーククライムの戦闘員達に命令を下す。
「この世界を……俺達の大切な人達を……お前の思い通りにはさせない!!」
 マシンから降りて襲い掛かかってくる戦闘員に叫びながら、ブレイドがラウズ・アブソーバーにクイーンのカードをセットする。
『ABSORB──QUEEN』
 そして、キングのラウズカードをスラッシュ。
『EVOLUTION──KING』
 アブソーバーから発せられる電子音声とともに、所持していた十三枚のスペードスートのラウズカードがブレイドの身体に融合し、キングフォームとなった。
 本来、ボードが開発したライダーシステムやアブソーバーにこのキングフォームという形態になれるシステムは存在しない。アンデットとの融合係数が異常なまでに高い剣崎だからこそ使えるフォームである。
 最も、それは剣崎をアンデットと同じ存在へと変えてしまう危険性を伴ってはいるのだが……それでも彼は辞めないだろう。
 戦えない人々の代わりに、自分が戦うという自らに課した使命が、彼を突き動かしているのだから。
「こっちも全力で行くぜ!! タッちゃん、カッムヒアー!!」
「ハイハ~イ! フォルテッシ~モに行きましょう!!」
 キバットがドラン族のモンスター、魔皇竜タツロットを呼び出すと、陽気な声とともに飛んできたタツロットがキバの左腕に止まる。
 それにより、キバの鎧を抑えつけていたヘルズゲートと呼ばれる拘束具、そしてカテナと呼ばれる鎖が全て解放され、キバは真の姿、エンペラーフォームへと究極覚醒を遂げた。
 王と皇帝……金色に輝く二人のライダーがダーククライムの戦闘員を迎撃すべく戦闘態勢に入る。
「ギィー!!」
 最強形態になった二人に怯みながらも、戦闘員達はトライバル・エンドの命令を遂行すべく二人に襲い掛かった。
「オラオラッ! 今の渡はお前らじゃあ止められないぜ!!」
 息巻くキバットの言葉に応えるかの如く、キバはタツロットから召喚した魔皇剣、ザンバットソードで戦闘員の一人を薙ぎ払う。
 マントを翻しながら剣を果敢に振るう姿は、舞うように流麗でありながらも、皇帝の名に恥じぬ雄々しさがある。
「ウェイク、アップ!!」 そして、ザンバットソードに取り付けられていたウエイクアップフエッスルをキバットに吹かせると、キバットのコールとともに制御アイテム、ザンバットバットを刀身にスライドさせた。
 すると、ソードが血のように赤い光を纏い、力をみなぎらせていく。
「はぁぁぁぁぁぁっ!!」
 フルチャージとなったザンバットソードのエネルギーが刀身を伝ってキバの身体に反応し、尋常ではない魔皇力が剣へと蓄えられると、キバは周囲にいた戦闘員達目がけて突進していった。
『1……』
『2……』
『3……』
『4……』
『5……』
 ファイナルザンバット斬……ザンバットソードとウエイクアップフエッスルの音色が共鳴して繰り出される必殺技。
 エンペラーフォームとなったキバが最も得意とする技であり、これで幾多ものファンガイアを倒してきた。
 大地を駆け抜けざまに一人を袈裟斬りに、その場で反転してザンバットソードを真横に振るってもう一人を薙ぐ。
 そして、前方にいる二人の戦闘員も軽捷に斬り捨て、再び地を蹴って白刃を躍らせた。
『ラスト……』
 キバットの声ととも、最後の戦闘員を真っ二つに切り裂くと、戦闘員達は途方もない轟音を立てて爆発。
 その様子を残心しつつ見守りながらキバは再びザンバットバットを刀身にスライドさせて力を制御し、戦闘態勢を解除した。
 一方、残りの戦闘員がブレイドを取り囲むが、そんな事態であっても彼は臆した様子もない。
 戦闘員達が一斉にブレイドに手に持っていた剣で切り裂こうとするが……ブレイドの鎧に傷一つ付ける事すら叶わなかった。
「ギィー!!」
 もう一度、戦闘員が剣を振りかぶるが、ブレイドはその隙を付いて戦闘員を一打の拳撃で吹き飛ばす。
 その様を見て、再び怯む戦闘員達。
 どう足掻いても並の戦闘力しかない彼らが、トライアルシリーズやアルビノジョーカーですら歯が立たなかったキングフォームのブレイドを倒す事など、どだい無理な話である。
「さっきも言ったけど、一気に片付けさせてもらうぞ」
 そう言い放つブレイドの身体から五枚のラウズカードが出現し、ブレイドはそのカードを手にする。
『TEN……JACK……QUEEN……KING……ACE……』
 そして、重醒剣キングラウザーに上級カテゴリーのカードを次々に差し込んでいく。
『ROYAL─STRAIGHT─FLASH』
「うぉぉぉぉぉぉっ!!!」
 ブレイドの前に先程セットしたラウズカードと同じ絵柄の巨大な光のカードが出現し、ブレイドはカードの中を突進していきながら、戦闘員達にキングラウザーの一振りを浴びせる。
 たったの一撃で、ブレイドは十人以上はいたであろう戦闘員を斬り伏せ、その膨大なエネルギーを全て受けた戦闘員は、轟音とともに───爆ぜた。
 瞬く間に、戦闘員達を一掃したブレイドとキバだが、既にトライバル・エンドの姿が無い事に気付く。
 恐らく、もう戦線から離脱してアジトへと帰還したのだろう。
「ぐっ……ハァ……ハァ……逃がしたか……」
 ブレイドから変身を解除した剣崎が片膝を付いて忌々しげに呟く。
 キングフォームは彼に強大な力を与える代わりに、著しく体力を消耗させる。
 故に、変身を解除した後は激しい眠気が剣崎に襲い掛かるのだが、戦いの中で彼はそれを克服したようだ。
「剣崎さん、僕達も研究所へ向かいましょう」
 変身を解除した渡もまた、エンペラーフォームによってかなり体力を削られたのか身体をふらつかせている。
スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION Another world第三話『騎士の涙』…の続きを読む
頂き物 | コメント:0 | トラックバック:0 |

スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION Another world第二話『ヒューマンサイクロプス』

スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION Another world第二話『ヒューマンサイクロプス』



「……彩が行方不明?」
 訝しげな声を上げて、零次は携帯電話のスピーカーに強く耳を押し当てる。
 零次がその連絡を受け取ったのは丁度、自主トレーニングを終えて帰宅した時の事だった。
「うん、家にも帰ってないみたいだし……レイはアーヤから何も聞いてない?」
 電話の主は、彩のクラスメイトである珠音。
 聞くところによると、彩が五日も学校を休んでおり、家にも帰ってきていないという。
「いや、俺の方からは何も……先週会ったばかりだし」
「そっか……こんな事今までなかったから由芽と一緒に街を歩き回ってるんだけどさ、見つからないんだよ」
 気丈な珠音らしく、友達の消息が分からないというのに口調は平常時と変わり無い。
 だが、それでも彩の事が心配なのか声音は不安の色を帯びていた。
「分かった、俺の方でも捜してみる。珠音ちゃんはゆっくり休んだ方がいい。寝てないんだろ?」
「まぁね……あたしは寝不足とか慣れてるから平気なんだけど、由芽なんかご飯も食べられない状態だからさ、何とかして捜さないと」
「無理だけはするなよ」
「オッケー。心配してくれてありがとうね」
 そう伝えると、珠音はやはりいつもの口調で電話を切った。
“彩が……一体何で?”
 嫌な予感を胸に抱く零次は自宅に置いてあるマッハアクセルのイグニッションキーを回してエンジンを起動させ、ガイアセイバーズの基地へと急いだ。




「こんにちは、零くん」
「よう梨杏、あんまりサボるなよ」
「むぅ……ちゃんと真面目にやってるよ」
「そうか、なら良かった」
 都内の湾岸地区に建設されたガイアセイバーズの基地へ辿り着いた零次は、受付に立っている梨杏に軽口を叩いて───少しでも不安を紛らわす為なのだが───IDカードを見せると真っ先に総監室へと向かった。
 今回の件が、まだ誘拐の類となれば零次個人で動いて捜し出すのだが、どうやらその説は薄い。
 ただの誘拐なら彩自身でその危機を抜け出せる事は充分に考えられる。
 何より、その辺の暴漢に彼女が不足を取る事は考えにくい。
 だが、魔女イザベルの前例もあるため、ダーククライムが絡んでいる可能性があると踏んだ零次はまず、天道に彩が行方不明だという事を報告するため総監室の扉の側にあるスロットルにIDカードを差し込もうとした。
『緊急事態! 緊急事態!──新宿区にてダーククライム出現! ガイアセイバーズ各員は直ちに急行して下さい!!』
 突如、けたたましい警報とともにレッドアラートを伝えるアナウンスが基地内部へと響き渡る。
「クソッ……こんな時に」
 忌々しげに舌打ちした零次は、基地のフロアを慌ただしい様子で駆けるアサルトフォースの隊員達に混じって自らも駆け出した。




 そこは、凄惨という言葉が当てはまる光景だった。
 アスファルトは割れ、高層ビルは倒壊して瓦礫を築き、無数の車は障害物に激突して鉄屑同然と化している。
 そして、爆発を起こした所為で生じた炎火により、辺り一面は紅蓮の海原となっていた。
 もはや街として機能しているものは何一つ見当たらない。
「救護班、急いで!!」
 負傷した民間人の数も尋常ではなく、中には既に事切れた人間も数多く横たわっている。
 生存者は迅速に救出すべく、隊員達が語気を荒くして指示を出していた。
「一体……どうなってんだよ」
「あ、零次。やっほー」
 変わり果てた街の姿に零次が呆然としていると、背後からあっけらかんとした声が届いてきた。
 およそ、この修羅場には不釣り合いな声に振り向いた先には……少女がいた。
 ゴシックロリータ調のファッションに身を包み、右手に人間を軽々と持ち上げている少女は、見間違えるはずもない。
 零次がよく知る人物───そして、捜そうとしていた少女、彩だった。
「彩……何やってんだよ?」
「何って……見ての通りダーククライムの計画に邪魔な人間達を殺してるんだよ」
 悪戯っぽく喉を鳴らして笑いながら、彩は零次の問いに、さも当たり前だと言わんばかりの口調で答える。
 爛漫な声音でありながらも、手にしているのは肉塊となった青年の身体。
 零次の目に映るそれは、違和感を感じさせずにはいられない。
「お前……何言って……」
「おやおや、早速現れましたか。仮面ライダーイヴ」
 未だ思考が追い付かない零次の前に、今度はトライバル・エンドが姿を現した。
「意外と早くお披露目出来ましたね」
「……どういう事だ? 彩に何をした!!」
 大地を振るわさんばかりの零次の一喝を、しかしトライバル・エンドは冷笑で返す。
 まるで零次を嘲るように。
「もうこの娘は美島彩ではありません。私の新しい部下、ヒューマンサイクロプスといいます」
 もたれかかるように身体を寄せる彩の肩にそっと手を置き、トライバル・エンドは相手の神経を逆撫でさせるような慇懃な態度で会釈する。
「なっ……!?」
「さぁ、ヒューマンサイクロプス。仮面ライダーイヴに生まれ変わった貴女の力を見せてあげなさい」
「はい、トライバル・エンド様」
 指示を下された彩の嬉しそうな笑顔を見てから、トライバル・エンドは姿を消した。
「零次、まだよく分かってないみたいだから教えてあげる。ボクね、生まれ変わったんだよ。ダーククライムの新しい改造生命体として」
「……は? 意味分からねぇよ」
「もう~しょうがないなぁ。じゃあ分かりやすく言ってあげる」
 零次の言葉に、呆れたようにかぶりを振ってから彩は黒いフリルスカートの両端を指で摘む。
「ボクは、もう昔のボクじゃないんだよ。トライバル・エンド様の忠実なしもべ、ヒューマンサイクロプスになったんだぁ。これで零次と同じ改造人間だね」
 相変わらずの愛くるしい口調。
 まるで、森に迷い込んだ人間に悪戯をして微笑む妖精のような相好で彩は言い放つ。
「それでね、ボクに与えられた命令は……ダーククライムの計画に邪魔な人間達の抹殺、そして……」
 一呼吸置いてから、再び彩の口が動く。
「仮面ライダーイヴを殺してストーン・イヴを回収する事。それがボクの使命だよ」
 その言葉は、認めたくない現実から目を逸らそうとしている零次の心を抉るには充分なものだった。
 さなきだに、崩壊した街を目の当たりにして受けた衝撃は並大抵ではないというのに。
「……本気なのか?」
「嘘でこんな事言わないよ」
 言い終えた刹那、彩はアスファルトに亀裂が生じるほど強く踏みしめて地を蹴ると、一気に間合いを詰めて零次の顔面に縦拳を打ち込む。
 それは、常人を遥かに凌駕した亜音速の早駆けだった。
「がはっ───!?」
 突然の事態に対処出来ぬまま、零次は拳撃によって数メートル先の廃車に激突し、くぐもった呻き声を漏らす。
 衝撃により、鉄で造られた車が融解した飴細工のようにひしゃげ、原型すら留めなくなってしまった。
“み、見えねぇ……”
 背中に感じる激痛よりも、彩のスピード、パワーに零次は驚愕していた。
 少なくとも、自分が知る限り彩にこれほどまでの身体能力は無い。
 その驚愕が、否応なく彩の言葉を真実と認めざるを得なかった。
「ねぇねぇ零次、凄いでしょ? ボク人間だった時に比べてすっごいパワーアップしたんだよ!!」
「あっ……ぐぅぅ……」
 まるで子供が自慢話をひけらかすような口調で、彩は牙のように尖った犬歯を見せて笑うが、遅れて来た激痛により零次が答える余裕は無かった。
 半ば意識が朦朧とした状態で零次は起き上がろうとするが、身体に力が入らない。
「えへへ……じゃあ零次、ストーン・イヴは回収させてもらうね」
 再起出来ない零次を見て彩は、歩み寄ってから零次の腹部に手を伸ばす。
「クロスファイア……シュート!!」
「───ッ!!」
 突如、彩の眼前に橙色の魔砲弾が複数飛来。
 咄嗟の判断で彩は真上に跳躍し、その弾を躱す。
「はぁぁぁぁぁぁっ!!」
 だが、上空から絹を裂くような叫びとともに、ローラーブーツでビルの壁面を滑走してきた少女が、特殊形状のグローブを嵌めた右拳で彩の顔面を殴り付ける。
「ぐぅっ!?」
 その衝撃で、上空を舞っていた彩は叩き落とされるように垂直に落下していくが、猫のような身軽さで二、三回空中で前方宙返りしてから地面に着地する。
「これ以上、零次には触れさせないよ!!」
 零次を庇うようにして前に降り立ったのは、白いバリアジャケットを身に纏った二人の少女、スバル・ナカジマとティアナ・ランスターだった。
 先程の魔弾はティアナのデバイス、クロスミラージュの銃口から放たれたもの。
 流石に二人ともエース・オブ・エースと呼ばれる高町なのはから直々に訓練を受けただけあり、戦闘レベルは高い。
「う~ん……スバルとティアナも来ちゃったら分が悪いなぁ」
 頭に付けたヘッドドレスの位置を直して小難しそうに唸りながら彩は構えを解く。
 流石の彩とて、今の自分が不利な状況に置かれている事くらい理解出来る。
『──ヒューマンサイクロプス』
「ほぇ?」
『ここは撤退しなさい。貴女はまだ実験段階ですからね、そろそろ血液交換もしなければなりません』
「むぅ~もうそんな時間かぁ……」
 脳内に組み込まれた無線通信LANからトライバル・エンドの声が聞こえ、それを受信した彩は残念そうに呟くと零次達に背を向けた。
「じゃあ零次、スバル、ティアナ。また会おうね~」
 別れの仕草に、片手を大きく振った彩が地面を蹴って跳躍し、戦線から離脱した。
「零次、大丈夫!?」
「あ、あぁ……大丈夫………だ」
 スバルの手を借りて何とか起き上がった零次は、ダメージが残るのか苦しげな声を発して腕を押さえる。
「アイツ、一体何なの? 今までのサイクロプスとはタイプが違うみたいだけど……」
「あれは……彩だ」
 ティアナの疑問に、零次が短く呟くと二人が目を見開いて零次を凝視する。
 その顔は、驚愕の色を隠す事もなく零次に疑心の目線を送っていた。
「えっ……ちょ、ちょっと待ってよ零次! あれがアーヤってどういう事なの!?」
「改造されちまったんだよ……アイツは」
「嘘でしょ………」
「冗談でこんな事言うかよ……俺だって信じたくねぇんだ」
 零次の言葉に、とうとうスバルとティアナは何も言えなくなってしまう。
 未だガイアセイバーズの救護班の隊長が檄を飛ばしている中、三人はその場に立ちすくんでいた。




「そうか……美島が」
 帰還した零次が総監室で事の顛末を報告すると、ガイアセイバーズ総監──天道総司は重厚なデスクの上に両肘を付き、指を組んだ。
 緩やかにウェーブした黒髪に鋭い眼光、落ち着き払った声音は十年前のワーム、ネイティブとの闘いの時から変わっておらず、機動六課部隊長の八神はやてから丸くなったとは言われても、彼はその研がれた牙をしっかりと持っている。
「……恐らく、改造手術と同時に脳改造まで施されてしまっているんだろう」
「………」
 淡々と推測する天道の言葉を、零次は口をつぐんだまま聞いていた。
 認めたくない……だが、認めなければならない。
 起こってしまった事態を。
「だが……サイクロプスに改造された人間が改造前の自我を保てるのは稀なケースだな」
「……はい」
「恐らく……自我を残しておけば沢井が美島に手が出せないのを見越していたのかもしれない」
「───ッ!!」
 激昂の余り、零次は骨の代わりに埋め込まれた特殊合金のフレームが軋みを上げるほど拳を握り締めた。
 それは、負けた事への悔しさではない。
 無関係な友人が敵対する者達によって辱められ、道具として利用されている事に対する怒りと、そして友人を助けてあげられなかった自分の不甲斐なさへの怒りだった。
 そんな感情を隠す事無く床を睨む零次に対し、天道は務めて冷静で、ポーカーフェイスを崩さない。
 次の作戦を考えているのか、その双眸は閉じられている。
 そして……天道はゆっくりとその瞼を上げた。
「沢井……美島を討て」
スーパーヒーロー作戦 NEW MISSION Another world第二話『ヒューマンサイクロプス』…の続きを読む
頂き物 | コメント:0 | トラックバック:0 |
| HOME |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。