第1回 月娘トーナメント 第1回戦 第4試合 添上まどかVS磯崎彩夏2010-04-04 Sun 22:19
第1回 月娘トーナメント 第1回戦 第4試合 添上まどかVS磯崎彩夏
第1回 月娘トーナメント 第1回戦 第4試合は元空手チャンピオンであり強烈なパンチで相手をKOしている磯崎彩夏と計算されたボクシングで相手に勝つ添上まどかの試合である。 「(山ちゃんと闘うためにもこの試合に勝たなきゃ・・・) ふぅっ・・・」 彩夏は自分の親友でありライバルの山神裕子と闘うことを目標としているため、まどかに必ず勝たなければならないと考えている。 一方、まどかは自身が調べた彩夏のデータを脳内で復唱していた。 「(磯崎彩夏、中学時代に全日本女子空手大会で優勝している・・・ その後、デビュー戦で山神裕子を右アッパーでKOしてからKO勝利を重ねている・・・ 空手仕込みの強烈なパンチで相手を攻め立てるインファイター・・・ カウンターを中心にあいつの土俵で勝負をつける・・・) 負けるわけないわ・・・」 まどかは自身が立てた試合のプランでなら自身の敗北はあり得ないと考えているようだ。 二人はレフェリーに呼ばれ、リング中央で対峙していく。 彩夏は気合いの入った目でまどかを見つめていくがまどかはそんな彩夏の視線を意に介さず自然体でいる。 レフェリーの注意が終わると二人は自分のコーナーに戻っていく。 「彩夏、相手はデータボクシングで有名な添上まどかよ。 あの伊集院さつきも彼女にKOされてるわ。 だから、彩夏も注意していきなさいよ」 「分かってますよ、明日香さん。 私も彼女の試合を見て勉強しましたから・・・」 この試合の前にまどかの試合を何試合分か見た彩夏にとって、まどかのデータボクシングは大きな脅威になると考えていた。 「分かってるならいいわ。 とにかく、彩夏にはハードパンチがあるんだから焦らずいきなさい」 「はい!!」 彩夏がそう返事をした時にセコンドアウトの指示がかかった。 そして、1ラウンド開始のゴングが鳴り響いた。 試合が始まるとまどかは彩夏との距離を一定に保ちつつ、彩夏の顔を狙って左ジャブを放っていく。 しかし、ダメージを与えるためのものではなく、彩夏のデータを採るためのものである。 彩夏も薄々ではあるがそのことを理解しているため、むやみにパンチを出すようなことはしていないがこのままではまどかにいいようにされたままになってしまうと考えている。 「(なかなか、攻めてこないわね・・・ なら、アプローチを変えてみようかしら・・・)」 まどかは彩夏が自身のボクシングを警戒し、攻めてこないので少しやり方を変えることにした。 まどかは彩夏の得意なフィールド、インファイトへ持っていったのだ。 彩夏もまどかが自らインファイトを仕掛けてくれたおかげで少しやりやすく感じたのか、左右のフックやショートパンチを次々に放っていった。 しかし、まどかは彩夏のパンチをブロッキングやダッキング、スウェーバックと技術を駆使して防いでしまった。 そして、ある程度データが取れたため、彩夏の顔に右ストレートを叩き込んでからバックステップで後方へ退いた。 「(私のデータが採られた? だったら!!)」 彩夏はまどかとの距離を一気に詰めようと前進していくがまどかはそれに付き合うつもりがないのか、彩夏との距離を相変わらず一定に保っていく。 しかし、まどかはいつの間にかコーナーへと追いつめられていた。 まどかがデータでは分からない彩夏の闘気ともいえる威圧感に少しだけ圧倒されていたのである。 「(決める!!) はぁっ!!」 気合いの込もった声とともに右ストレートを繰り出そうとしたところで1ラウンド終了のゴングが鳴り、彩夏は自身の拳をまどかの顔の前で止めた。 そして、自分のコーナーへ戻っていった。 「(今の感覚は何? 私が分からないなんて・・・)」 まどかは自分が感じた威圧感の正体が分からず、考え込みながら自分のコーナーへ戻った。 「まどか、どうしたの?」 「分かりません・・・ 何故か、あいつに押されてしまいました・・・」 まどかのコーチはまどかの言葉を聞き、次のラウンドの指示を出していく。 「まどか、次のラウンドはアウトボクシングを徹底しなさい。 そうすれば、不調は治るはずよ」 「分かりました・・・ やってみます・・・」 まどかはそう言うと冷静さを取り戻すために呼吸を整えていく。 一方、彩夏のコーナーではまどかを追いつめたことで気が楽になったのか、会長の話を頷きながら聞いていた。 「いい、彩夏? 相手はあんたの気迫にビビってるわ。 次のラウンドもしつこいくらいに前に出なさい!」 「分かりました、会長! やってみます!!」 彩夏は力強く頷くとスツールから立ち上がり、突撃のために身体を温めていく。 そして、2ラウンド開始のゴングが鳴り、彩夏は一気にコーナーから飛び出した。 しかし、まどかはゆっくりとコーナーから出ると飛び出してきた彩夏に左右のストレートや左ジャブを放ち、牽制していく。 「くうっ・・・ 負けるかぁ!!」 「無駄よ・・・」 彩夏の叫びを聞いたまどかは静かに答えながら左右のストレートを放っていく。彩夏はまどかのストレートを喰らうも構わず突き進んでいき、左右のパンチを放っていく。 「(しつこい・・・ だったら、別の方法でこいつのペースを乱してやるわ・・・)」 まどかは考えをまとめると彩夏のパンチをかわしながら接近し、クリンチへ持っていく。 そして、彩夏のリズムを狂わせようとしていく。 「くうっ・・・ 離して!!」 「離すわけがないでしょ・・・ あんたのパンチなんかまともに相手してられないわ・・・」 そう言いながらまどかは自分の脇腹に小さくパンチを叩き込んでくる彩夏の体勢を崩そうとしていく。 膠着状態になった二人をレフェリーが分けていく。 「(これで、磯崎彩夏のリズムは崩したわ・・・ だから、今度は私のリズムで踊ってもらうわ)」 まどかは試合が再開されると勢いよく距離を詰めてくる彩夏の顔に左ジャブや左右のワンツーを叩き込み、出鼻を挫くと素早いステップを活かして彩夏の強打をいなしていく。 そうしている内に、2ラウンド終了を告げるゴングが鳴り響いた。 「はぁ・・・ はぁ・・・ (急に当たらなくなった・・・ 何で・・・?)」 彩夏は自分のパンチがまどかに当たらないことに焦りを感じているようだ。 彩夏は少しふらつきながら自分のコーナーへ戻っていった。 「はぁ・・・ はぁ・・・」 「彩夏、何も言わなくてもいいから聞きなさい。 添上まどかはもう彩夏のボクシングを解析してるはずよ」 彩夏は会長の言葉に荒い息を吐きながら俯く。 会長も具体的なアドバイスがしてやれないことに唇を噛み締めている。 彩夏はそんな会長の姿を見て、気持ちを切り替えた。 「会長、私、やれるだけやってきます!」 「分かったよ! やれるだけやってきな!!」 会長はそう言うと、背中に張り手を入れて、彩夏を送り出した。 3ラウンド目が始まると彩夏はまどかに接近しようと一気に距離を縮めようとするがまどかはフリッカージャブやジャブで彩夏を牽制していく。 しかし、まどかにはある狙いがある。 「(あんたが決めようとしたところできれいにカウンターを決めてあげるわ)」 まどかは自身のパンチ力だけでは彩夏をKOするのは無理だと考えたのか、彩夏のパンチ力も利用してやろうと考えた。 彩夏はまどかが攻めてこないので一気に攻めようと左右のパンチを繰り出していく。 しかし、まどかは彩夏のラッシュをブロッキングやパーリングなどで防いでいた。 そして、わざとコーナー際まで追い込まれると焦ったような表情をしていく。 「(添上さんが焦ってる・・・ だったら、今しかない!!) はぁぁぁっ!!」 彩夏は気迫とともに右ストレートを放っていく。 しかし、まどかは焦っていた表情から獲物を狙うハンターのような表情に変わると彩夏の右ストレートを左手で弾いた。 そして、隙だらけになった彩夏の顔にカウンターの右ストレートを叩き込んだ。 「ぶへぇ・・・」 彩夏の口からは血と唾液を纏ったマウスピースが勢いよく吐き出され、目が虚ろになったまま後ろに倒れた。 「ダウン! 添上、下がって!!」 彩夏のダウンを確認するとレフェリーはまどかをニュートラルコーナーへ向かわせ、彩夏へのカウントを始めた。 「1・・・ 2・・・ 3・・・」 レフェリーのカウントは進んでいくが彩夏は意識が飛んだのか、痙攣してしまっている。 「4・・・ 5・・・ 6・・・」 「(勝ったわね・・・ 磯崎彩夏は完全に失神してる・・・ あそこから立てるはずがないもの・・・)」 まどかは彩夏の表情や様子にKO勝利を確信していた。 「8・・・ ナ・・・」 まどかの思惑とは反して、彩夏が虚ろな表情のまま立ち上がってきたのだ。 まどかはその彩夏の表情と闘争心に少なからず恐怖を感じてしまった。 「イン・・・ 10・・・ 勝者、添上!」 カウント9で立ち上がったもののファイティングポーズを取ることなく、前のめりに倒れた。 そして、テンカウントが数えられた。 そうして、彩夏の敗北が、まどかの勝利が決まった。 まどかはレフェリーに勝ち名乗りを上げられ、リングから降りたがダメージはほとんどないにもかかわらず、少し身体が震えていた。 この恐怖が彼女の今後にどう影響してくるのかはまだ分からない。 第1回 月娘トーナメント 第1回戦 第4試合 添上まどかVS磯崎彩夏 勝者 添上まどか 3ラウンド 20秒 フィニッシュブロー 右ストレート(カウンター) あとがき 少し短い気もしますが今回の試合はこんな感じで決着です。 余談ですが、同人誌掲載用のスーパーヒーロー作戦 NEW MISSIONは彩坂梨杏VS彩坂梨杏のボクシング対決がメインの一つになりますよ♪♪ それでは、また♪♪ ひらひらでした♪♪ スポンサーサイト
|
| HOME |
|