ひらひらの仕掛け屋敷

このブログはアニメや特撮、漫画についてのコメントやオリジナル女子格闘技小説を掲載したりしますよ♪♪

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ガールズインパクト奮闘記 Page1「対決! 女装少年VS女の子」 記入者:藤崎祥治

ガールズインパクト奮闘記 Page1「対決! 女装少年VS女の子」
記入者:藤崎祥治

関東のとある場所にある団体、ガールズインパクト。
僕はそこでスパーリングパートナーと雑用係を兼任している。
また、僕は女装して、団体の選手として試合をしている。
何故、男である僕が女装して女子格闘技団体の興業に参加しているのかというとそれには訳がある。

それについて、今回の日誌に記しておきたいと思う。

普段、僕と梨杏はスパーリングと称してわりと本気で殴り合っている。
数ヵ月前のあの日も僕と梨杏はスパーリングをやっていた。

「はぁ・・・ はぁ・・・ やっぱり、祥治くんはすごいね・・・」
「はぁ・・・ はぁ・・・ 梨杏こそすごいよ・・・」

僕たちはスパーリングを終えたあと、リングに座ったままクールダウンをかねて話していた。
ちなみに、僕はこの時間が好きだ。

「ねぇ、祥治くん?」
「何?」

梨杏が何か固い表情で呼びかけてきた。

「加奈さんに掛け合って試合組んでもらおうよ」
「けど、僕は女の子じゃないんだよ?」

僕は梨杏の提案に当たり前の正論で反論していく。
ガールズインパクトは女子格闘家の団体のため、女子しか試合ができない。
だから、梨杏の申し出は通らないだろう。
けど、梨杏は秘策でもあるのか、笑みを崩さない。

「それで、具体的なプランはあるの?」
「うん、あるよ! それもとびっきりのやつ!!」

いやいや、その笑顔と鼻息が僕の不安を煽ってくるんだけど・・・
いったい、何考えてるの??

そんな僕の不安をよそに梨杏は団体のトータルマネージャーであり、興業のマッチメイクなんかもやってる大滝加奈さんのいる事務所へ向かっていった。
仕方ないので、僕はサンドバックを叩きながら梨杏の帰りを待った。

しばらくして、戻ってきた梨杏の顔は異様なまでに輝いていた。
何か、嫌な予感しかしないな・・・

梨杏は試合を組んでもらった日から多くは語らず、ただ僕にはある程度練習しておくように言ってきただけだった。

とりあえず、いつまでも不安がってもしかたないので試合の日まではガールズインパクトの選手の皆さんとスパーリングとかをしつつ、その日がくるのを待った。

そして、試合前日、僕は梨杏に呼ばれたので選手控え室に向かった。
選手控え室は明かりが点いておらず、真っ暗だった。

「えっと・・・ 梨杏・・・? どこにいるの・・・?」
「ここだよ」


梨杏の言葉とともに明かりが灯った。
そして、目の前にあるものに目を奪われた。
そう、僕の目の前には利杏のコスチュームの一つ、白色に黒の縁取りされたスポーツブラとトランクスがあった。

「梨杏さん・・・?」
「どうしたの、祥治くん??」

僕の表情を見て、梨杏は小首を傾げた。
けど、小首を傾げたいのは僕のほうなんだけど・・・
だって、呼ばれて入った部屋に恋人のスペアのコスチュームがあって、その横にセミロングくらいのウィッグが置いてあったらどう思うかは言わなくても分かるだろう。

「じゃ、僕はこれで・・・」

そう言って控え室を出ようとした僕をいつの間にか控え室に入ってきていた利杏の先輩、中野洋子さんと氷室舞那さんが塞いでいた。
しかも、洋子さんにいたってはものすごい笑顔だ。

「あのぉ・・・」
「まぁまぁ。そんな逃げんでええやん」
「いやいや、これはおかしいでしょ? それって僕が着けるんですよね??」

僕の問いかけに梨杏と洋子さんは笑顔のまま頷いた。

「舞那さん、二人を止めてもらえませんか?」

僕の頼みに舞那さんは静かに苦笑するしかなかった。
そうですよね・・・ あの二人、とくに梨杏があの興奮してますっていう表情になったら止められませんよね・・・
分かってますよ・・・

「つまり、僕が梨杏のスペアコスチュームを着けて試合しろってこと?」
「うん!!」

梨杏・・・
そんな嬉しそうに言わないでほしいんだけど・・・

「っていうか、梨杏はいいの?」
「何が?」
「いや、僕が着けるんだよ、そのコスチューム」

梨杏は僕が言わんとしたことを理解したのか、頬を赤く染めた。
でも、緩みきった表情と口から漏れてる妄想が僕に心配する必要がないと告げてくる。

「分かったよ。まっ、それくらいしないと本当の意味で梨杏と試合できないしね」
「じゃあ、いいの?」

梨杏の言葉に僕が頷くと梨杏は嬉しそうに笑った。
その笑顔が見れるだけで無茶な要望に応えた甲斐があったよ。

「じゃ、また明日・・・ 全力で殴り合えるいい試合にしようね」
「うん・・・ でも、負けない・・・ 祥治くんを殴り飛ばすから!」
「いいよ! 僕もそのつもりだから!!」

僕と梨杏はしばらく見つめあった。
それから、僕は控え室を後にした。

試合当日、僕と梨杏は別々の控え室になった。
まぁ、いくら恋人同士の試合とはいえ、男女を一緒の部屋には置けないよね。

「何、考えてんのよ、あんたは?」
「いや、何って?」
「だから、女装してまで梨杏先輩と試合しようなんて」

僕のセコンドに就いてくれてる、梨杏の後輩の柊瑞枝、瑞枝が僕を呆れた眼で見てる・・・
まぁ、普通は考えないよね、女装して試合なんて・・・

「まぁまぁ、瑞枝ちゃん。祥治先輩にも考えがあるんですよ」
「そうよね・・・ けど、あたしは女装した祥治君を味見したいわぁ・・・」

瑞枝を宥めてるのは野村真依ちゃんで危ないことを口走ってるのが野々宮芽衣さん。
二人ともガールズインパクト所属の選手だ。

「まぁ、とくに深い考えがあるわけじゃないけどさ。梨杏と心ゆくまで殴り合うには女装くらいしないとダメかなって」
「結局、その場のノリじゃない」

呆れた表情のままの瑞枝ちゃんだけどテキパキと準備を進めてくれる。
おかげで、安心して試合に集中できそう。

「まっ、頑張んなさいよね」

瑞枝はそう言うと僕の口にマウスピースを入れてくわえさせようとしてくれる。
くわえさせてもらったマウスピースの位置を自分で直しているとスタッフが試合の時間になったので呼びに来てくれた。
スタッフに呼ばれた僕はそれまで座っていた椅子から立ち上がり、軽くシャドーをこなして暖気してからセコンドの瑞枝ちゃんたちを連れて、試合会場の控え室を後にした。

リングへ向かう途中も軽く身体を動かして緊張を和らげようとしていく。
そして、梨杏との試合にモチベーションを上げていく。

「さぁ、梨杏・・・ 存分に殴り合おう!」

僕はリングに続く花道を歩きながら闘志を高めていく。

僕がリングに上がると観客から歓声が起きる。
中には『結婚してくれー!』なんて叫びも聞こえる。
一応、彼女いるんだけどなぁ・・・
ちなみに、興業のパンフレットには僕が男で女装して試合に臨んでいることも記されている。
つまり、観客のみんなは僕が男だって知りながら思い思いの歓声を送っている。
そして、赤コーナーで待っていると青コーナー側の花道から梨杏がセコンドの人たちを連れてリングに向かってくる。
その表情は試合の時の対戦相手を射抜く鋭さを含んだ笑顔だ。

「安心したよ、梨杏。それでこそ、僕の大好きな人で最高のライバルだ!」

梨杏がリングに上がってくるのを見ながらさらに闘志を昂らせていく。

レフェリーである飯田美帆さんにリング中央に呼ばれた僕と梨杏はゆっくりと歩み寄っていく。
そして、間近で対峙するとお互いに闘志を込めた眼で睨み合っていく。

「負けないよ、祥治くん!」
「こっちこそ! 腫れた梨杏の顔も嫌いじゃないしね!!」

僕の言葉に梨杏は少し微笑むとまた強い視線を突きつけてくる。
僕も梨杏に鋭い視線を返していく。
そうして睨み合っていると注意を終えた美帆さんが僕らに自分のコーナーに戻るように指示してきたのでそれに従い、自分のコーナーへ戻った。

「あんたねぇ・・・ 梨杏先輩と見つめあってんじゃないわよ!」
「何で? だって、対戦相手と睨み合うのってよくあることだよね??」

僕が瑞枝ちゃんの言葉に反論すると何故か瑞枝ちゃんがぶつぶつ言いながら黙ってしまった。
真依ちゃんと芽衣さんはそんな瑞枝ちゃんには構うことなく、僕の肩を揉んだりマウスピースを咥えさせたりしてくれてる。
こんなにしてもらって、無様に負けるのは悔しい。
だから、負けるにしても梨杏の顔を原形が分からなくなるくらいにボコボコにしてやるぞ。

試合開始のゴングが鳴り、僕も梨杏も勢いよく相手に近づいていく。
そして、ジャブで相手を牽制すると打ち合いへ持ち込むタイミングを計っていく。

「んんっ・・・ 祥治くん、遠慮しなくていいよ・・・」
「あぐぅ・・・ そうだね・・・ だったら、おもいっきりやろうか!?」

僕がそう言うと梨杏も納得したのか、さらに距離を詰めてくる。
それを見て、僕も距離を詰めていく。
お互いに距離を詰めると相手の顔に左右のストレートを叩き込んでいく。
梨杏の顔に僕のグローブがめり込むと梨杏の口から唾液が飛び散る。
けど、僕の口からも唾液が飛び散る。

「がはぁ・・・」
「んぶぇ・・・」

お互い、至近距離で殴りあってるから相手の顔に自分が吐き出した唾液がかかる。
けど、そんなこと気にしてられない。
僕は梨杏に勝つ。

「はぁ・・・ はぁ・・・ 負けない!!」
「はぁ・・・ はぁ・・・ 僕だって!!」

お互いの闘志を相手にぶつけると形振り構わず、左右のグローブを相手に叩きつけていく。
梨杏の右フックが顔にめり込むと僕の左アッパーが梨杏の脇腹に打ち込まれる。
お互いの一撃にさらに口から唾液を噴き出してしまう。
しかし、それでも相手に拳を叩き込むことを止めない。

「ストップ! ストップ!! ゴングよ、コーナーに戻って!!」

僕たちがしばらく殴りあっていた間に1ラウンドが終わってたのか、美帆さんが殴りあってる僕たちの間に割って入る形で止めてきた。

1ラウンドが終わって、自分のコーナーに戻った僕をスツールとかを用意して、瑞枝ちゃんが待ってくれていた。

「ほ、ほら! 早くマウスピース出しなさいよ!」

瑞枝ちゃんはそう言うと両手を器のようにして僕の口の近くに持ってきてくれた。
僕は少し遠慮しながら瑞枝ちゃんの手に唾液で濡れたマウスピースを吐き出した。

「えっと、瑞枝ちゃん・・・」
「ふぇ? あに??」
「いや、水飲みたいんだけど・・・」

僕がそう言うと瑞枝ちゃんは芽衣さんから慌てて水の入ったボトルとバケツをもらって、ボトルを僕に渡してきた。

「ほら!」
「ありがと」

僕がお礼を言うと瑞枝ちゃんは照れたみたいに少し僕から視線を外した。
僕、何かおかしなこと言ったかな?

「気にしなくていいわ、祥治君。ところで、次のラウンドも真っ正面から梨杏と打ち合うつもり?」
「一応、そのつもりですけど、それだけじゃなくてカウンターとかも狙ってみようかと・・・」

リングの外側にいる芽衣さんから次のラウンドの行動方針を聞かれたので思ったまま話すと芽衣さんは笑顔を見せてくれた。
こうやって僕の精神的負担を軽減しようとしてくれるみんなの気づかいは正直ものすごく嬉しい。

「あの! 祥治さん!」
「何だい、真依ちゃん?」
真依ちゃんが外側から少し大きな声で呼びかけてきた。

「次のラウンドから梨杏先輩はきっと本領を発揮してきますよ」
「だろうね・・・ まぁ、打ち合いながら僕のやり方で梨杏を倒してくるさ」

僕がそう言うと真依ちゃんは納得してくれたのか、何も言ってこなかった。
瑞枝ちゃんは僕の身体に浮き上がった汗を拭き取ってくれる。

セコンドアウトの指示が出ると瑞枝ちゃんはリングの上から降りていく。
そして、僕はスツールから立ち上がると2ラウンド開始のゴングを待つ。

2ラウンド開始のゴングが鳴ると僕と梨杏は1ラウンド開始前よりも勢いよく相手に近づいていく。
相手との距離が詰まると僕も梨杏も左右のストレートを相手の顔に叩き込んでいく。
お互いによけたりガードしたりしてないので次々に相手のグローブがめり込んでくる。

「んぶぅ・・・ かはぁ・・・」
「ぶふっ・・・ あがぁ・・・」

お互いの口からは唾液が噴き出し、鼻からは血が溢れてくる。
それでも、お互いに相手の身体中に左右のグローブを叩きつけていく。

「あぐぅ・・・ ぶへぇ・・・」
「んぐぁ・・・ かはぁ・・・」

何発か相手のパンチが叩き込まれた後、お互いの頬にそれぞれのグローブがめり込んだ。

「うぐっ・・・」
「んぁっ・・・」

僕たちはクロスカウンターの威力に口から血と唾液のついたマウスピースをこぼした。
そして、二人とも前のめりにリングに倒れた。

「ダ、ダウン! ダウン!!」

美帆さんは自分が見た光景に一瞬呆けていたようだがすぐに気を取り直して、カウントを取り始めた。
しかし、僕も梨杏もさっきの一撃で意識が飛んだのか、なかなか立ち上がれない。

「4・・・ 5・・・ 6・・・」

カウントは徐々に進んでいく。
カウント6の辺りで意識がぼんやりとだが戻ってきた僕は言うことを聞かない身体に鞭打ってなんとか立ち上がろうとしていく。
その過程で顔を上げると目の前で梨杏が歯を食いしばり、凄まじい表情で立ち上がろうとしていた。
きっと、僕も同じような顔をしているのだろうと思うとさらに全身に力が入った。

「7・・・ 8・・・ ナ・・・」

美帆さんのカウントがカウント9を数える前に止まった。
僕も梨杏もぼんやりとしていながらも険しい表情で立ち上がった。

「二人ともやれる?」

美帆さんが僕たちに試合を続行できるか確認してくると僕らはそれにゆっくりとだが力強く頷いていく。
美帆さんはそれを見ると試合を再開させた。

「ファイト!」

試合が再開されると梨杏は多少ふらつきながら僕に近づいてくる。
そして、ある程度近づいたところで右ストレートを繰り出してきた。
僕は梨杏の右ストレートをなんとかかわすとそのまま梨杏の顎を狙って左フックを叩き込んだ。

「ぶふぅ・・・」

僕のカウンターの左フックを顎に叩きつけられた梨杏の口からさっき美帆さんが咥えさせてくれたマウスピースが血とともに吐き出され、リングに落ちた。
そして、それを咥えていた梨杏もまたしてもリングに崩れ落ちた。

「ダウン! 藤崎、ニュートラルコーナーに下がって!!」

ダウンした梨杏を見た美帆さんが素早く指示を出してきた。
美帆さんは普段は人を呼び捨てにはしないのだが、試合をレフェリングする際は誰であろうと呼び捨てで指示してくる。
僕は美帆さんの指示に従い、ゆっくりとニュートラルコーナーへ向かった。
ハードパンチャーな梨杏と打ち合っている僕はもはや限界ぎりぎりなのだ。
情けない話、僕はそれほど打たれ強くはない。
ここで梨杏が弱ってくれないとそろそろまずい。

「1・・・ 2・・・ スリ・・・」

梨杏は美帆さんがカウント3を数える前に立ち上がってきた。
しかし、その立ち上がる姿はまるで生まれたての小鹿のように弱々しく、震えながら無理やりファイティングポーズを取っている。

「彩坂、やれる?」

美帆さんは梨杏の両手のグローブを押したりしながら梨杏が試合を続行できるか確認した。

「ファイト!!」

美帆さんはどうやら梨杏が試合を続けられると判断したようだ。
けど、2ラウンド終了までにあと30秒もある。
このラウンドで決着をつける。

「このラウンドで終わらせるよ、梨杏!」

僕はそう言うと梨杏との距離を詰めていく。
梨杏はあと1ダウンでTKO負けするのでガードを固め、このラウンドをやり過ごそうとしている。

「そんなので僕は止まらないよ!」

僕は梨杏のガードに構うことなく、左右のフックやストレートなど、様々なパンチを叩き込んでいく。
しかし、梨杏のガードが崩せないので、ガードされてないボディを狙っていく。
「んぐぁ・・・ ぐふぅ・・・ あぎぃ・・・」

僕の左右のグローブがボディにめり込む度に梨杏の口から血と唾液が吐き出されていく。
そして、梨杏のお腹が僕のグローブによって変色していく。
それでも、ガードを下げようとしない梨杏に対して、さらに左右のグローブを叩き込んでいく。

「ストップ! ストップ!! ゴングよ!!」

美帆さんが身体を割り込ませるようにして止めてくる。
2ラウンド終了のゴングが鳴ったようだ。

「はぁ・・・ はぁ・・・ はぁ・・・」
「次のラウンドで倒すよ。手加減はしないから」

僕はそう言うと自分のコーナーに戻った。
けど、ゆっくりとしか動けない様子に自分のダメージも軽くはないと気づかされた。

コーナーに戻った僕は用意されたスツールに座り、リングに上がってきた真依ちゃんに口からマウスピースを取ってもらった。
自分で吐き出す体力も惜しい。

「はぁ・・・ はぁ・・・」
「祥治さん、次のラウンドは梨杏先輩のボディを狙いつつ顔も狙っていきましょう!」

僕は真依ちゃんの言葉に気だるそうに小さく頷くことしかできなかった。
けど、真依ちゃんは僕の様子を気にすることなく、身体中の汗や口や鼻の周りについた血や唾液なんかをタオルで拭いてくれる。
他の二人からの指示がないようなのでこのラウンドからは真依ちゃんにセコンドの役目を任せるつもりらしい。

3ラウンド開始のゴングが鳴ると僕はリング中央まで出た。
梨杏は2ラウンド目に受けたダメージが抜けきっていないのか、自分のコーナーから出てこない。
なら、僕が梨杏の懐に飛び込んでやる。

僕は梨杏のいるコーナー際まで近づいていく。
すると、僕を近づけたくない梨杏はジャブを連打して止めようとしてくる。
けど、梨杏のジャブをガードしながら無理やり距離を詰めると梨杏がクリンチしてきた。
女装した僕と梨杏が抱き合う姿に会場中から歓声が上がってくる。
しかし、梨杏とクリンチしている僕には観客の歓声が耳に入らなかった。
スポーツブラ越しに感じる梨杏の胸の柔らかさに冷静さを失ってしまったからだ。
すると、梨杏がクリンチしたまま呟いてきた。

「祥治くんのスケベ・・・ けど、祥治くん・・・ えぶぅ・・・ ほんとに強い・・・ごふっ・・・ね・・・」
「えっ?」
「やっと・・・んぶっ・・・本気の祥治くんと・・・ぶほっ・・・試合できた・・・」

梨杏は血反吐を吐きながらそんなことを言ってきた。
僕の背中を伝う梨杏の血反吐が気にならないくらいの言葉に僕の動きが止まってしまう。

「隙・・・あり・・・」

梨杏はそう言うと血反吐にまみれた唇を僕の唇に重ねた。
僕はそれを突き放せなかった。

「ブ、ブレイク! 離れて!!」

美帆さんが慌てたように僕らを分けてくる。
そして、梨杏に注意していく。

「二人とも次やったら試合中止させるからね!」

美帆さんはそう言うと試合を再開させた。

「梨杏、これで終わらせるよ!」

僕は試合が再開されると梨杏の鳩尾に左アッパーを打ち込んでいく。
梨杏は鳩尾にグローブがめり込むと目を見開き、顔を少しだけ下げた。
僕は下がってきた梨杏の顎に渾身の力で振り上げた右アッパーを叩き込んだ。

「ぶへぇぇぁぁ・・・」

梨杏の口から痛々しい呻き声と血反吐にまみれたマウスピースが真上に吐き出された。
そして、梨杏の背中がロープに叩きつけられると反動で顔からリングに崩れ落ちた。

「ダウン! 試合終了!!」

美帆さんはダウンした梨杏を見てから試合を止めた。
梨杏はダウンした後も痙攣しながら血反吐を吐き続けた。
梨杏の顔が血反吐の海に沈むのを見ながら勝ち名乗りを受けた。
けど、梨杏に勝った喜びより血反吐の海に沈んだ梨杏を見て、何とも言えない気持ちが渦巻いていた。

試合が終わり、梨杏は一応念のため、検査入院したがすぐに退院した。

今、僕と梨杏はあの日の試合の録画映像を見ている。

「ねぇ、祥治くん・・・」
「何、梨杏?」
「また・・・わたしと試合してくれる?」

梨杏は不安そうな表情で聞いてきた。

「今は無理かな・・・ 僕も気持ちの整理がついてないし」
「うん・・・」
「だから、次はもう少し先にやろう・・・」

僕の言葉に梨杏の表情が変わった。
それを見て、嬉しく思ってしまう僕も僕だろう。

「けど、次はもう少し強くなっててよ。またこんな勝ち方したら後味悪すぎるし」
「うぅー 意地悪! 絶対、次は負けないもん!!」
梨杏は僕にそう宣言して練習に戻った。
けど、梨杏がリングに沈んだ時に感じたあの気持ちは何だろう?
それが何かはっきり分からない。
いつか、分かる日がくるのかな?

とりあえず、今はみんなと過ごす日々、梨杏と拳を交える日々を大切にしよう。

「さぁ、僕も練習するぞ!」

to be continued

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